梅雨が明けると本格的な夏がやってきます。懸念されているのが夏風邪の流行です。三大夏風邪のひとつ、「手足口病」は国立感染症研究所によると7月14日までの1週間で1医療機関あたり12.64人(前週は9.79人)に達し、過去10年で最大規模の流行です。
また、東京都によると7月21日までの1週間で1医療機関あたりの患者数は15.20人(前週は14.84人)に達し、島嶼部をのぞく都内の全てのエリアで警報基準(1医療機関あたり5.0/週)を超える流行となっております。
同じ三大夏風邪の「ヘルパンギーナ」と「プール熱」も感染拡大が予想されます。対策はどうしたらよいのでしょうか。
なぜ夏に風邪をひくのか?
「俗に“夏風邪はバカがひく”と言われますが、夏に風邪をひく人が珍しかったのは昔の話。オフィスや家庭にエアコンが普及し、空気は乾燥し、冷やしすぎによる外気温と室温の差といった環境では、誰が夏風邪をひいてもおかしくありません」と言うのは、横浜相原病院(神奈川県横浜市)の吉田勝明院長です。
室内外の温度差が大きいと体に負担がかかり、自律神経も乱れて免疫力も低下し、夏風邪に感染しやすくなるというのです。
ウイルスで感染する夏風邪
いずれも夏にウイルスで感染する風邪症状だから三大夏風邪と呼ばれています。手足口病は手・足・口内に水泡ができる症状。プール熱(咽頭結膜熱)はノドと目に症状が出ますが、主にプールで感染します。ヘルパンギーナという病名は『水泡』(ヘルペス)と『喉の炎症』(アンギーナ)から来ているようにノドの奥にできる口内炎が主な症状です。
「三大夏風邪の感染者は9割以上が乳幼児ですが、まれに大人も感染します。子どもが保育園や幼稚園で感染すると、その親など家族が感染してしまうのです。子どもの場合は軽くてすんでも、大人は症状が重くなることがあります」(吉田院長)
大人も2%が三大夏風邪に感染
ウェザーニュースは、「三大夏風邪に今シーズン感染しましたか?」というアンケート調査を実施しました(7月20〜21日実施、8797人回答)。98%が「感染していない」と回答しましたが、残りの2%が「感染した」と回答しました。
「感染した」と回答した175人の内訳は次の通りです。
・手足口病…64人(36%)
・プール熱……63人(36%)
・ヘルパンギーナ…48人(28%)
三大夏風邪は子どもだけでなく大人もかかるのです。
エアコンは適温、寝冷え防止で夏風邪予防
梅雨が明けて夏が本格化すると夏風邪に感染する人がさらに増加することが予想されます。予防するにはどうしたらよいのでしょうか。
「夏風邪は、予防する薬も治す薬もありませんが、日常生活に注意すればある程度防げます。まずエアコンを適温にして冷やしすぎない、寝るときはタオルケットをお腹にかけて寝冷えしない、睡眠を十分にとって免疫力を高めます。そして感染予防には、外出先から帰ってきたらすぐに手洗いとうがいをすることです」(吉田院長)
風邪は万病の元とも言います。「たかが夏風邪」と油断せずに夏風邪を予防してください。
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