新型コロナウイルスの感染予防策として「こまめな換気」が求められています。それでも気温と湿気が高い日が続くこの時期、熱中症対策の面からは、部屋を閉め切ってエアコンを作動させる必要があります。
エアコンを作動させながらの換気はどのようにすればいいのか、ダイキン工業コーポレートコミュニケーション室広報グループの重政周之(しげまさ・ちかし)さんに伺いました。
スイッチのオン・オフ時に多くの電力が消費される
「夏場のエアコン(冷房)は室内の空気から熱だけを取り出して室外に放出することの繰り返しで、室内を冷やす仕組みをもとに作られています。空気自体は同じものが循環しているだけです。一般の家庭用エアコンには換気機能がないため、新型コロナウイルス対策には室内の換気が推奨されています。
一般的な家庭での窓開け換気の目安は、およそ『1時間に5~10分ほど』といわれています。また、1時間に10分の換気を1回するよりも、1時間に5分の換気を2回する方が換気の効果は高くなります。
その際、『節電のため』としてエアコンのスイッチを切る方がいらっしゃいますが、これは誤りなのです。エアコンはスイッチをオンにした際、つまり暑い部屋を冷やそうとするとき、多くの電力を必要とします。ですから、換気のために窓を開けるときも、その都度エアコンのオン・オフを繰り返すより、つけたままのほうがむしろ消費電力量が少なくて済み、節電・省エネ効果は高いと考えられます」(重政さん)
ダイキン工業では、エアコンを「つけっぱなし」にした状態と、30分ごとにスイッチをオン・オフにした場合の消費電力を測る実験を行いました。その結果、「つけっぱなしにしていたときのほうが、消費電力が少ない」ことが実証されたそうです。
外出時でも35分以内ならスイッチは切らない
「最高気温が36.3℃、エアコンの温度設定は26℃という設定で、実験を行いました。すると日中の時間帯であれば35分間、気温が低い夜間でも18分間ならば、エアコンを切らずにつけっぱなしにしておいたほうが、消費電力は少なくて済みました。
つまり、1時間に5分どころか30分に5分、窓を開けての換気を繰り返すというレベルでも、その都度スイッチのオン・オフ操作をしないほうが、省エネ効果が高くなります」(重政さん)
見方を変えれば「昼間なら35分以内、夜間なら18分以内の外出」なら、エアコンはつけっぱなしにしておいたほうが、消費電力が少なくて済むことになりますね。
「そのほか、長時間エアコンを切って外出した後の帰宅時には、いきなりエアコンを使うのではなく、まず室内にこもった暖かい空気を排出・換気し、室温を下げたのちに作動させるのが、換気の面からも、省エネの面からもより効果的です」(重政さん)
梅雨が明ければ、エアコンなしでは暮らせない日々が続きます。そのなかで新型コロナウイルスと熱中症の予防に加え、省エネも意識しながら、状況に応じた効果的なエアコンの使い方を心がけましょう。
【関連記事】