半数以上の女性が管理職に就きたい?管理職のジェンダー平等に関する「本音」を聞いた【調査結果】

3月8日の国際女性デーを前に、女性向けの人材サービスを展開する「Waris」はアンケート調査「女性管理職に関する調査~経験者と未経験者の両視点から探る~」の結果を発表。女性管理職の現在地を報告した。

3月8日は、労働条件の改善や平等な政治参加を求めた女性たちによる運動の成果を認識し、ジェンダー平等を考える「国際女性デー」。

ジェンダー格差の是正に向けた取り組みが各領域で進んでいるなか、女性管理職比率の向上は大きなキーワードの1つとなっている。

エージェント事業やリスキリング事業など、女性のキャリアを応援する人材サービスを展開する「Waris」は2月27日、国際女性デーを前に「女性管理職に関する調査~経験者と未経験者の両視点から探る~」の結果を発表。調査結果を一部抜粋して紹介する。

【調査概要】

調査名称:「女性管理職に関する調査~経験者と未経験者の両視点から探る~」

調査期間:2025年1月15日~1月31日

調査対象:管理職経験のある女性194人、管理職経験のない女性98人

調査方法:WEBアンケートフォームによる回答

有効回答数:292件

半数以上の女性が管理職に就きたい?

管理職経験のある女性に、職務に関して苦労していること(苦労したこと)を複数回答で尋ねたところ、「精神的なプレッシャーが大きい」が52%と最も多い結果となった。次いで「ワークライフバランスが取りづらい」(46%)と「男性中心のコミュニケーションや組織風土」(44%)も4割以上と多く、既存の働き方や環境による制約に苦労している女性が多いことがうかがえる。

職務に関して苦労していること(苦労したこと)
職務に関して苦労していること(苦労したこと)
株式会社Waris

次に管理職未経験者に「管理職をやりたいか否か」を尋ねたところ、「はい」「どちらかというと『はい』」が53%で、半数を上回る結果となった。

その理由としては「経験やスキルを磨きたい」「より高い給与や報酬を得るため」「裁量を広げたいから」「自身のキャリアビジョンの実現のため」など、自己成長を目的とする声が多かった。一方の「いいえ」「どちらかというと『いいえ』」(47%)と回答した人にその理由を聞いたところ、「労働時間や仕事量への不安があるから」「自分の能力・経験が不足していると感じるから」「ワークライフバランスへの懸念があるから」「管理職に興味がない」などの声が寄せられた。

続いて「女性管理職を増やすために有効だと考えることはなんですか」(複数回答可)と尋ねたところ、全体の77%が「柔軟な働き方の実現」と回答。次いで「子育て・介護などライフと仕事の両立支援」(61%)、3位「夫やパートナーの家事・育児協力」(56%)が多い結果となった。

女性管理職を増やすために有効だと考えること
女性管理職を増やすために有効だと考えること
株式会社Waris

4位には「業務経験、キャリア開発機会の男女格差是正」(52%)がランクインし、昇進につながる重要業務を獲得するチャンスが男性よりも少ない現状がうかがえる。

管理職のジェンダー平等を目指す法律の効力について、どう思いますか?

2023年に上場企業を対象に女性管理職比率を開示することが義務付けられたが、これについて有効だと思うか否かを聞いたところ、「有効だと思う」が全体の59.6%、「有効だとは思わない」が25.0%、「わからない」が15.4%という結果となった。

有効だと思う理由としては「女性が企業選びの参考にすることで競争が生まれる」「外圧・法的規制が変革を促す」などの声が寄せられ、一方の有効だとは思わない理由としては「形式的な対応・形骸化の懸念がある」「育児などとの両立の困難さといった課題の本質的な解決にはならない」「管理職は適任者がなるべき」などの声が寄せられた。

続いて、2022年7月から男女賃金格差の開示義務化の対象が「未上場企業も含む従業員101人以上の企業」に拡大されたことについて意見を聞いたところ、「有効だと思う」が前の問いと同じく59.6%、「有効だとは思わない」が24.0%、「わからない」が16.4%という結果となった。

有効だと思う理由として「数値で事実を可視化することで企業の対応が促され女性の管理職登用も進む」「女性が公平な賃金を得られることが明確になれば管理職を目指す意欲が高まる」などの声が寄せられ、一方の有効だとは思わない理由としては「賃金差の要因が複雑で直接的な影響は薄い」「管理職比率の増加に直結しない」「性別ではなく個々の成果などに応じた賃金体系が望ましい」などの声が寄せられた。

Overearth via Getty Images

調査結果を受けて同社共同代表の田中美和さんは、「女性管理職比率の向上には、組織の中でマイノリティになりがちな管理職女性たちを孤独にさせない制度や仕組み、管理職がワークライフバランスを実現するための両立支援策、リモートワーク・フレックスタイム等の柔軟な働き方が不可欠だということがわかりました」とコメント。

続けて「本調査の結果を踏まえて、Warisは管理職(候補)人材として、成長意欲の高いハイスキル女性のご紹介を行うと共に、管理職・役員として働く女性の事例の発信、女性がリーダーとして活躍するために必要なことに焦点をあてたウェビナー開催、多様なリスキリング講座の開催などを通じてリーダー層におけるジェンダーバランスの適正化を推進し『誰もが自分らしく生きられる社会づくり』に貢献してまいります」と今後の展望を話し、調査を総括している。

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