ウォルマート、拳銃の弾薬販売を停止へ。「私たちは変わらなければいけない」とCEOが訴え

全米ライフル協会は「ウォルマートは銃反対のエリートたちに屈服した」と非難した。

アメリカの小売り大手「ウォルマート」は9月3日、拳銃や一部の殺傷能力の高い軍仕様ライフル銃の弾薬の販売を止めると発表した。

さらに、銃器の持ち歩きが認められている州であっても、店を訪れる際には銃器を見える形で持ち歩かないように求める。

カリフォルニア州にあるウォルマート店舗
カリフォルニア州にあるウォルマート店舗
slobo via Getty Images

アメリカでは8月に、3件の銃乱射事件が発生した。

そのうち一件は、テキサス州エルパソにあるウォルマートの店舗で起きた。同事件では22名が亡くなっている。

また、この事件の4日前の7月30日にも、ミシシッピ州の店舗でウォルマート従業員が同僚を銃で殺害する事件が起こっている。

声明でウォルマートのダグ・マクミロンCEOは「1週間の間に、私たちの会社は2つの悲劇的な出来事を経験しました。私たちは変わらなければいけない」と従業員に訴えた。

ウォルマートが今回販売を停止するのは、拳銃と一部の殺傷能力の高い軍隊仕様のライフル銃の弾薬。また、唯一ウォルマートが拳銃を販売していたアラスカ州での拳銃の販売停止も、発表した。

「顧客の中には、今回の決定を不便と感じる方もいると思いますが、ご理解いただきたい」とマクミロンCEOは説明する。

一方で、狩猟用のライフルおよびスポーツ射撃用の拳銃と銃弾については、引き続き販売するという。「私たちはこれまで長い間、責任あるハンターやスポーツ選手たちに銃を提供してきました。それは今後も続けます」

今回の決定により、ウォルマートの銃弾のシェアは20%から6〜9%になるだろうと、マクミロンCEOは予測する。

エルパソ銃撃事件の追悼式に集まった人たち
エルパソ銃撃事件の追悼式に集まった人たち
Sandy Huffaker via Getty Images

ウォルマートは近年、銃器の販売規制強化を強めてきた。

2015年には殺傷能力の高いライフルの販売を停止した。2018年には、フロリダ州パークランドの高校で元生徒が17人を殺害した事件を受けて、店舗で銃や弾丸が買える年齢を21歳に引き上げた。

エルパソ銃撃事件の後は、暴力的な描写のあるゲームソフトを宣伝しないようにした。

それでも、同社が全米ライフル協会(NRA)が支援する政治家を援助していること非難する声もあった。

9月3日のマクミロンCEOの発表の後、NRAはウォルマートの決定を「残念」であり「ウォルマートは銃反対のエリートたちに屈服した」と非難した。

3日の発表でマクミロンCEOはNRAには触れていないが、ホワイトハウスや国会議員に、銃暴力への対応を強めるよう求める書簡を送ったことを明らかにした。

「我々は国のリーダーたちに、身元確認の強化、および差し迫った危険を及ぼすような人物に武器を持たせないことを求めます」

「我々は軍仕様のライフルを販売しません。そして殺傷能力が高い武器を再び禁止することを、議論すべきだと考えています」

「(銃撃のような)暴力的な行為を引き起こす根本的な原因が何かを考えるべきです」

ウォルマートの発表の数時間後、大手スーパーマーケットチェーン「クローガー」も、武器を見えるような形で店内に持ち込まないように求めると発表した。

クローガーは2018年に、武器や銃弾のビジネスから完全撤退を決めている。

今回、「許可された警官以外は、見えるような形で武器を店内に持ち込まないよう求めることにしました」と、クローガーグループ企業行動課のジェシカ・アデルマン副代表はハフポストUS版に話した。

ウォルマート同様、クローガーも政治家たちに「身元調査の強化、および暴力行為を起こすリスクが高い人から、武器を取り上げること」を求めているという。

「アメリカでは、現状に満足していない人、そして具体的で常識的な銃の改革を求める人たちの声がどんどん高まっています。クローガーは、彼らの声に合わせていきたい」と同社は声明で述べた。

ハフポストUS版の記事を翻訳しました。

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