アメリカ・オレゴン州ポートランドで、母親たちがデモ参加者を守るための「壁」を作った。
5月に黒人のジョージ・フロイドさんが白人警察官に首を押さえつけられて亡くなってから、ポートランドでは警察の暴力と人種の不平等に抗議するデモが続いている。
しかしデモを“暴動”扱いしているトランプ大統領は、デモ参加者を取り締まるために武装した連邦職員を派遣してきた。
連邦裁判所前に7月18日に集まった多くの母親たちは、お互いに腕を組み「子どもたちを放っておいてくれ」「連邦は手を引け。ここには母たちがいる」と繰り返し叫んだ。
「さらに多くのデモ参加者が集まっています。道をふさいでいるのは腕を組んだ女性たちの列。自らを『母親たちの壁』と呼ぶ女性たちは『連邦は手を引け。ここには母たちがいる』と繰り返し叫んでいます」
「昨夜、連邦に催涙ガスをかけられ撃たれた後、もうデモには参加しないと誓いました。だけど母親たちの壁が集結していると聞いて、家でじっとしていることができなかった」
「腕を組んで公民権センターの前でデモ参加者を守る女性たちの列。『連邦は手を引け、ここには母親たちがいる』と繰り返していて、それに『連邦ではなく母親を』と称える声が応えています」
母親たちの壁を呼びかけたのは、ベヴ・バーナムさんだ。バーナムさんはFacebookページで、「全ての母親の皆さんへの呼びかけ」として次のように綴っている。
私たちが一番できることをやりましょう――それは人々を守ること。
ほとんどの皆さんがニュースで読んだり目にしたりしたように、デモ参加者が攻撃されています(正当な理由なしに)。ここ最近では、正体不明の権力による覆面パトカーが配置され、参加者たちの権利が剥奪されています。
私たち母親はしばしば軽んじられます。しかし私たちは、思われているよりずっと強い。どうでしょう、私と一緒に立ち上がってくれませんか?母親の壁を作るのを助けてくれませんか?
バーナムさんは、暴力行為が起きるかもしれないので、フェイスマスクをして、ヘルメットを被り、つま先が覆われた靴を履いて参加してと呼びかけている。
■地元は政権に反発「事態を悪化させている」
武装した連邦職員は、覆面パトカーなどを使ってデモ参加者を拘束していることが問題になっている他、週末のデモでは催涙ガスを使用した。
参加者の1人は「よく考えることなく、自国の市民を催涙ガスで攻撃する国に自分が住んでいるなんて信じられない」とツイートしている。
しかし催涙ガスによる攻撃があった翌日の19日にも、母親たちは集結して声をあげた。
「母親たちの壁が、ポートランドのダウンタウンにある公民権センターに戻ってきた。彼らは援軍を連れてきた」
「連邦裁判所の外にいるんだけれど、昨夜連邦に催涙ガスで攻撃された後、また母親たちが集まった。ポートランドで、今月最も大きな集まりの一つになった」
連邦政府が武力行使を容認することについて、トランプ大統領は「ポートランドを傷つけようとしたのではなく、助けようとしたのだ」とTwitterで述べる。
「ポートランドの指導者は、無政府主義者や扇動者を何カ月も制御できていない。彼らは行方不明になっている。我々は連邦政府の所有物と我々の国民を守らなければならない。彼らは単なるデモ参加者ではない。問題を起こす存在だ」
デモ参加者を制圧しようとするトランプ政権に対して、オレゴン州やポートランドは距離を置く姿勢を見せている。
ポートランド警察は、催涙ガスを使った19日の衝突について、「ポートランド警察は群衆への攻撃に関与しておらず、催涙ガスは使っていない」と発表した。
また、ポートランドやオレゴン州の政治家たちは、連邦政府の介入がデモ参加者を煽り、状況を悪化させていると述べている。
ポートランドのテッド・ウィーラー市長はCNNに、「彼らの存在が、さらなる暴力と破壊に繋がっています」「彼らはここで望まれていません。私たちは彼らに来て欲しいとお願いしていません。去って欲しいと思っています」と語った。
オレゴン州の司法長官は17日、軍形式の部隊を派遣して市民を不当に逮捕するのを止めるよう国土安全保障省に求める訴訟を起こした。
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。
【訂正 2020/07/22 10:00AM】
記事中に、デモ参加者を取り締まるために「連邦政府軍」を派遣していると記載していましたが、「武装した連邦職員」に訂正します。軍ではありませんでした。