僕らは若者の投票率を嘆いていない。

投票は大切だということだけを訴えるのではなく、「自分は社会の一員だ」と感じてもらえる政治教育や、体験が日本の中にもっと増えるといいなと思います。

こんにちは!!

NPO法人「僕らの一歩が日本を変える。」(以下ぼくいち)代表理事の後藤寛勝と申します。

毎日タオルが手放せないほどの猛暑が続く夏が始まりましたね。先月は、参議院選挙に東京都知事選挙と、政治の報道がより盛んになった月でした。

今回は、NPOの代表として、また、22歳の大学生として、7月の参議院選挙と都知事選挙を振り返って今思うことを書きたいと思います。

◼︎本当に、若者の投票率は「低い」のか。

まず、先月の参議員選挙における投票率を振り返ります。全世代の投票率は、54.70%。これは、戦後4番目の低さにあたると言われています。

10代の投票率は45.45%。さらに年齢ごとに区切ると、18歳が51.57%、19歳が39.66%でした。一方で、東京都内や関東圏を見てみると18歳の投票率が60%を超えたところもあったそうです。

この結果を受けて様々な声が聞こえますが、一部メディアでは「若者の投票率は全体に比べて低かった。」「18歳選挙権には課題が残った。」と報道されています。

しかし、僕は今回の投票率の結果を、非常に前向きに捉えています。なぜなら、選挙権年齢の引き下げ自体を含め、「社会側の変化」に意味があったと言えるからです。

◼︎「一過性」を乗り越えて、「継続性」を追求する。

「社会側の変化」はマイナス要素が強い中で、始まりました。メディアでも世の中の認識でも、"若者の政治的無関心"は大前提だったからです。

また、学校や当事者である10代にとって突発的にもたらされた"18歳選挙権成立"から生まれた啓発のキャンペーンやイベントは、今回の選挙のために用意された「一過性のもの」でした。

チラシが学校の掲示板に貼り出されていたり、学校外で政治に関心のある希望者を対象にしたイベントが行われていたり。それでも、18歳の半分が投票所に足を運んでいるんです。

もちろん、投票率に関して、18歳と19歳の差や20代の低さなど課題は残っています。ただ、メディアの報道、世の中の空気感、18歳選挙権成立の突発性や一過性といったマイナス要素を乗り越えた上での、今回の投票率の結果です。

一概に、若者の投票率は低かったと言えるでしょうか。むしろ、若者は政治に関してまだまだポテンシャルを秘めているということが分かったはずです。

だとすれば、「一過性」だけではなく、「継続性」を視野に入れたポテンシャルを開花させるための工夫が今後も必要です。そこで、僕はやはり若者と政治がつながる場と機会である政治教育の重要性を主張したいです。

◼︎枠組みを超えたアプローチとは。

政治教育が「一過性」を超えるには、「枠組みのみを教える」ことから脱却しなければいけません。

例えば、1票の大切さを学校の教科書を使いながらひたすら説明したり、元々彼ら(10代)は興味がないとわかっていながら、実際の政治家や政党を題材にした模擬投票を実施したり、キャンペーンを行ったり。

これらは、投票がゴールだとするアプローチ方法です。この手法では、ある程度"興味を持つ"という政治参加の入り口に立ってもらうことが可能です。今回の結果にも、投票率で表れました。

しかし、問題点として、投票に行ったとしても「なんとなく。」「メディアで多く報道されていたから。」あるいは、関心を持ったけれども、「投票に行かなかった、もしくは行く意義を感じられなかった」という結果につながってしまうはずです。

実際に今回の選挙では、行った人行かなかった人含め、そういった声が多かったそうです。

もちろん投票は、意思表示を行うことなので、ゴールに定めることは非常に大事なことだと思います。ただ、若者の政治参加に必要なことは、"入り口に立つ"ことだけではなく、"自分は社会の一員なんだ"という想いのもと、継続性を持って主体的に参加してもらうことです。

だからこそ、今後はこの2つのアプローチを分けて考えなければいけないと思っています。

◼︎票育で、"自分は社会の一員なんだ。"と思える体験を。

"自分は社会の一員なんだ。"と感じるためには、「政治と自分の接点」を見つけ出す体験が必要だと思います。僕らが必要だと考えている政治教育は、この体験ができる教育です。

ぼくいちでは、22歳以下の若者が地域の中高生に政治や社会、まちづくりについて考える機会を届ける「票育」という事業を展開しています。上半期で40校以上6000人以上にプログラムを体験してもらいました。

票育は、継続的に地域の担い手を育む仕組みとして、今年度3つの自治体で採用され、事業化しています。

提携先の自治体では、地域のために活動する担い手(票育CREW)が生まれ、現在も自治体のために、自治体の認定の元、文献調査やフィールドワークなどの体験活動を行っています。そして、体験活動で得た気づきや発見、政治と自分の接点を同世代や下の世代に届けています。票育の詳細はこちらから!

※日南市1期票育CREWの皆さんと、研修(体験活動)の様子。

下半期は、さらに、票育CREWとして成長した若者が、課題の当事者として、地域の課題調査や提案を行う若者の委員会や、自分たちの住む地域の首長の諮問機関を常設を目指しています。

つまり、若者による若者のための地域活動が、行政の仕組みとして継続的に行われるようにするということです。この仕組みに関しては改めて記事にまとめます。

※岐阜県美濃加茂市との票育事業発足記者会見にて。

これまで、社会側の10代との向き合い方が、広く「選挙に行こう」「関心を持とう」と"入り口に立ってもらうこと"が重要視されてきましたが、その先のこともやっぱり必要だということが選挙結果からも読み取れます。

投票は大切だということだけを訴えるのではなく、「自分は社会の一員だ」と感じてもらえる政治教育や、体験が日本の中にもっと増えるといいなと思います。

偉そうなことを長々と書いてしまいましたが、僕は、引き続きNPOのチームで、地方自治体や学校を舞台に、より多くの方に票育をお届けできるように頑張ります。読んでいただき、ありがとうございました。

票育に関するお問い合わせは、info@boku1.orgまで!

All Photos Taken By:星野大秀

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