ヴィクトリアズ・シークレットにプラスサイズも仲間に入れて欲しいと請い願う、この果てしなき熱烈な衝動は明らかに私の想像を遥かに超えた現象だわ。もしどうしてもそうしたいのなら、是非ともMI6(シークレット・インテリジェンス・サービス) のような情報機関に跪いてみて。でも、相手はヴィクトリアズ・シークレットなのよ。本気なの?
確かに彼らがプロデュースするショーは凝っていて素敵。つけくわえるとすれば、もしすべての女性の体型やサイズを一切合切締め出すことが彼らの使命だとしたら、それがまた特権でもあるのかしら。
こういった類いの現象も受け入れていかなければならない現実を目の当たりにし、半ば自棄気味になってしまううちに、私たちプラスサイズをむしろ受け入れてくれて、多大な努力や情熱、そして多くの時間を費やしてくれている、30ものブランドの存在自体が忘れられつつあるということが実に不愉快だわ。もっと大事なのは、彼らがプライドと創造性をもってこれにあたってくれているという事実。敬意を表し、私はこれまで喜んでVOLUP2マガジンで彼らを紹介してきたし、その肝心な包括性をハッキリと主張してこれたように思えるの。
彼らのサイトをみれば、プラスサイズ女性たちの方がランジェリーをただ単にkawaii、イケているとしてだけでなく、実用性を兼ねた優しいアイテムとしてマーケティングする能力があることをわかってもらえると思う。ランジェリーは女性なら誰もが身につけるものなのだから、ヴィクトリアズ・シークレットが一般女性の平均値と思われる実際のサイズを締め出してまで毎回ディスプレイに励む、華奢すぎる理想の美なんてとっくに廃れた古い発想や概念を孕んでいるようにさえ映り、もはや怖いものがあるわ。私たちは幸運にも時代の変化をリアルタイムで生きている。そのなかで例えば、VOLUP2のような多くの活動団体が、人間らしさからくる自然な美しさを紹介する道を選択しているの。女性にとって頼もしく、信頼できる魅力。ええ、ソコにはまだグラマラスな肉体を前向きに捉える一面がある。でもそれこそが本来の在り方よ。
実際に行われているヴィクトリアズ・シークレットのショーで華麗に舞うモデルたちが見せる、現実的には弊害をもたらしかねないそのやり方が何ひとつ問題として挙げられない影で、健康に対する偏った思い込みを抱く人たちが、プラスサイズモデルの出現そのものを禁じているの。この見せかけの理想を追うための無駄な努力によって、極めて親しみを感じ得ない体型のモデルたちが実際には、自分たちが決して心身ともに不健康なことを促進しているわけではないかのように見せかけているけれど、その人為的な不自然さを一般的な人たちが見抜けないとでも思っているのかしら。
決まって無視され続けているメンタルヘルスだって、本来はこの大きな健康問題のディベートに欠かせない課題。私たちはまた、多くの女性や子供たちが自身の体型に不満を抱いている時代のなかで暮らしている。決して避けては通れないテレビ、雑誌、広告掲示板やその他諸々のマスメディアによる理想化されたイメージの氾濫による洗脳のせいで、彼らは自分たちの容姿をネガティブに捉え、自信をなくし、自己嫌悪すら抱いてしまっているのよ。これらのイメージは紛れもなく、このほぼ実現不可能なヴィクトリアズ・シークレットのモデルたちのような体型を手にいれることなしに、彼女たちには敵わないことを露骨に言い表しているの。何十年ものあいだ、私たちが私たちであるためのメーキャップに手を貸してくれた先駆者たちを咎めることはないわ。私たちはヴィクトリアズ・シークレットの妖精たちも含め、軽率な振る舞いとしてだけでは済まされない問題に自由に取り組み、それぞれが持ち合わせている未完成の体型を楽しむ権利だってある。
ベルベット・ダムール (訳:川上太郎)
【注釈 : このURL添付は決して、プラスサイズに好意的な30のブランドを宣伝する目的で掲載しているものではありません。あくまでもエディトリアル誌の使命である芸術性と、一人でも多くの女性に自信を促すための社会的意義のために掲載しているため、当VOLUP2にて日本国内における各ブランドの販売代理や仲介は行っておりません。】