人気漫画『宇崎ちゃんは遊びたい!』が日本赤十字社の献血キャンペーンに協力する理由を、作者の丈(たけ)さんが明かした。コラボ企画第2弾がスタートした2月1日、Twitterに投稿した。
丈さんは、1995年の阪神淡路大震災で自身が被災して「瓦礫の下から助け出された」とした上で、日本赤十字社に「助けられた恩返しがほんの少しできたらと思った」と振り返った。
『宇崎ちゃんは遊びたい!』をめぐっては2019年10月に献血キャンペーンとコラボしたポスターが「過度に性的な表現ではないか」という批判もあり、ネットを中心に賛否を二分する騒動になっていた。
■ポスターをめぐる騒動とは?
丈さんは「ニコニコ静画」で2017年から『宇崎ちゃんは遊びたい!』を連載。大学生の男女を描いたラブコメだ。元気な後輩の「宇崎ちゃん」こと宇崎花と、「先輩」こと桜井真の掛け合いが人気を集めている。KADOKAWAから発売された単行本は2020年1月現在、累計50万部を突破している。
日本赤十字社が過去に掲載していた告知によると『宇崎ちゃんは遊びたい!』とのコラボ企画第1弾は、2019年10月1日から31日まで開催されていた。
期間中、関東地方の一都六県の献血ルームで献血に協力した人に、特製クリアファイルをプレゼントするというものだった。
会場で掲示されたポスターやクリアファイルは、『宇崎ちゃんは遊びたい!』3巻の単行本表紙イラストを流用したもので、宇崎ちゃんの胸が強調されたデザイン。「センパイ! まだ献血未経験なんスか? ひょっとして……注射が怖いんスか~?」という台詞が添えられていた。
このポスターに関して、アメリカ人男性のジェイ・アレンさんが10月14日、「日本赤十字社が過剰に性的な“宇崎ちゃん”を使うことに失望している。こうした表現はTPOをわきまえるべきだが、そうなっていない」とTwitterに投稿した。
弁護士の太田啓子さんも「公共空間で環境型セクハラしてるようなもの」とアレンさんに賛意を示した。 これを受けて、日本国内でも、宇崎ちゃんのポスター使用をめぐって賛否が二分されるなど大きな騒動になっていた。
朝日新聞の取材に対して、日本赤十字社の塚原二朗・広報課長は「漫画ファンの若い人向けに作った」と説明。「見られ方への想像力が少し足りなかった。赤十字は公共性の高い団体で、誰もが気持ちよく過ごせるようにしたい」として、2月から開始する同様のキャンペーンは指摘を踏まえて対応を検討する意向を示していた。
■コラボ企画第2弾に合わせて、思いを明かす
「宇崎ちゃん」の献血コラボ第2弾は中止されることなかった。2月1日から関東地方の一都六県の献血ルームで始まった。期間は29日まで。
前回と同様に、献血の協力者に「宇崎ちゃん」の特製クリアファイルをプレゼントするものだ。今回はキャンペーンのために描き下ろした2ページのカラー漫画だった。
初めて献血する先輩に、宇崎ちゃんが同行。「針が痛くても泣いたら駄目ッスよ!!」などと先輩をからかう様子や、献血の際の注意点が描かれている。
作者の丈さんはコラボ漫画の1ページ目をTwitterに投稿した上で「続きの裏面は献血後にお読みください」と投稿した。
その上で、前回の騒動を踏まえて「いろいろご意見あるの知ってます」と振り返った上で、「なぜ赤十字コラボキャンペーンに協力したのか」という質問への回答を以下のように掲載した。
「僕が阪神淡路大震災の当時瓦礫の下から助け出された人間だからです」
「助けられた恩返しがほんの少しできたらと思っただけ理由はそれだけです」