石破 茂 です。
米朝首脳会談が中止となりました。そもそも突如として実現の運びとなった時から懐疑的であった私としては、ああ、やっぱりという思いです。北朝鮮の主張する「朝鮮半島の非核化」とアメリカの主張する「北朝鮮の非核化」は全く異なるのであって、接点を見出すのは相当に困難です。北朝鮮の背後にある中国やロシアの思惑にも強い警戒感を抱いたのでしょう。
トランプ大統領が「米国本土まで到達するICBMの廃棄」を北朝鮮に約束させることをもって「米国の安全確保にとって大きな成果が得られた」として合意を見るような事態は、我が国の安全保障にとっては悪夢以外の何物でもなかったのであり、振り出しに戻って現状が維持される方が日本にとってはまだましだと思う他はありません。この間にミサイル防衛体制の拡充やシェルターの整備など、拒否的抑止力の向上に努めることが急務です。
日大のアメリカンフットボール選手の関西学院大との試合中の行為が大きな社会問題となっていますが、当事者の主張も食い違い、疑惑を持たれている側の説明が全く説明になっておらず、記者会見を開いた日大側の取り仕切りも大きく常識と外れていると言わざるを得ません。
言を左右にして逃れようとする日大前監督の姿も見苦しく思われますし、記者の質問を遮ろうとする日大の広報担当者の姿勢には、真実を伝えようとする誠意の欠片も感じられません。自校の選手が勇気を奮って会見したのに、それに正面から応えないのは、教育に携わる者としてあるまじきことでしょう。
劣化は随所において見られます。「世の中は所詮こんなものだ」という諦めが蔓延してしまうのが一番恐ろしい。日本国の在り方に最も重い責任を負う国政の責任は極めて大きくかつ重いことを痛感します。
素朴な疑問として、財務事務次官と国税庁長官の不在には速やかに対処すべきものなのではないか、と思います。財務省の事務方と国税の両トップが不在という異常な事態に対応するためにこそ、内閣人事局の存在もあるのではないでしょうか。内閣人事局本来の役割をぜひとも発揮してもらいたいと願わずにはいられません。
昨24日、本会議終了後に、高知市で開催された日本左官業組合連合会定時総会後の懇親会に左官業振興議員連盟会長として出席し、全国の左官業の皆様と懇談する機会を得ました。
左官さんの数はピークの十分の一に激減してしまっているのですが、この技術なくして姫路城の修復もユニバーサルスタジオジャパンのホグワーツ城の建築もありえなかったのであり、何とか振興を図りたいと強く思っております。すべて国産の珪藻土で賄い、シックハウスのアレルギーもなく、調湿、抗菌、消臭、防・遮・吸音の効果も高い漆喰は、壁紙に比べて工期がかかる、高価である、デザイン性に乏しいなどといった難点もほぼ克服されつつあり、民泊にも活用できる古民家の再生や中古住宅の価値向上など、今後の発展の可能性が大いに期待されます。振興議員連盟として更に努力したいものです。
余談ですが、国歌「君が代」のさざれ石とは、正式には石灰石礫岩のことで、長い年月を経て、小さな石灰石と石灰石が一つになって巌となる、それは国民一人一人が一致協力し、苔のむす長きにわたるまで、日本国を存続させよう、という思いの象徴なのだそうです。世の中には知らないことが多くあるものだと改めて思わされました。
週末は、27日日曜日に自民党東京都第25区支部女性部「新緑の集い」にて講演、引き続いての昼食懇談会(午前11時・フォレスト・イン昭和館)、という日程です。
先週木曜日は全国建築板金業者全国大会で仙台に、昨日は前述のように日本左官業組合連合会大会で高知市に、どちらも振興議員連盟会長として出席しましたが、季節の変わり目で寒暖差が大きかったこともあって移動にやや負担を感じるようになりました。週末は体調回復にも努めたいと思っております。
皆様、体調にご留意の上、ご健勝にてお過ごしくださいませ。
(2018年5月25日「石破茂オフィシャルブログ」より転載)