ウクライナ南東部の街ザポリージャに住む11歳の少年が、たった1人で700マイル(約1126キロメートル)を旅して、隣国スロバキアに避難した。
スロバキアの内務省は3月5日「彼は1枚のビニール袋とパスポート、そして自分の手に電話番号を書いてたった1人でやってきました。親がウクライナに残らなければならなかったからです」と、Facebookで説明した。
投稿によると、ボランティアが少年の世話をして暖かい場所へと連れていき、食べ物と飲み物を与えた。
内務省は「その笑顔と勇敢さ、強い決意で少年は全ての人を魅了しました。本物のヒーローに値します」と少年を讃えている。
また、スロバキア当局は手に書かれていた電話番号を手がかりに、首都ブラチスラバに住む少年の親戚に連絡を取ることができた。
少年の故郷ザポリージャでは、ロシア軍が3月4日未明にヨーロッパ最大の原子力発電所ザポリージャ原発を攻撃し、その後掌握した。
少年の母親は、自分が街を逃れることができなかったため、少年を1人で避難させたという。
内務省は3月6日に、少年の母親のユリア・ピセツカヤさんの動画もFacebookに投稿した。
イギリスのスロバキア大使館の翻訳によると、ピセツカヤさんは動画で「母親を残していけず、息子と一緒に避難できなかった」と説明した。
「私は夫と死別しており、他にも子どもがいます。スロバキアの税関と、息子の面倒を見て越境を助けてくれたボランティアの皆さん本当にありがとうございます。私の子どもの命を救ってくれたことを心より感謝します。私の街の隣には、ロシアが攻撃した原子力発電所があります。私は母を残していくことができませんでした。彼女は1人では動けないためです」
国連は3月6日、ロシア軍のウクライナ侵攻が始まってから、150万人を超える人々が国外に避難したと明らかにした。多くの難民が隣国のポーランドやルーマニア、スロバキアなどに逃れている。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。