ウクライナ郵政公社はクリミア大橋の爆発を受けて、記念切手を発行することになった。
現地メディア「ウクライナ・プラウダ」によると、郵政公社のスメリャンスキー長官が10月8日の爆発から数時間後、「これほど良い朝はなかった。クリミア半島の橋(正確には橋の残骸)が描かれた新しい切手を発行します」とSNSで発表した。
価格は18リヴニャ(約70円)で発行部数は700万枚。発売日は後日発表予定だが、すでに郵政公社の公式サイトで注文を受け付けている。記念切手のデザインもこのサイトで公開されており、映画『タイタニック』をモチーフにしたものになっている。船の舳先ではなく、崩落した橋の突端で、男女がポーズを取っているものになっている。
豪華客船タイタニックが「絶対に沈まない船」と言われていたのに、初出航で沈没したエピソードを元に、クリミア大橋も「クリミアとロシアとの永遠のつながりの象徴という神話を生み出した」と郵政公社は皮肉っている。
デザインはアーティストのユーリー・シャポワル氏が手がけた。キーウ・インディペンデントによると今回の切手は、以前から準備したものだという。
■クリミア大橋とは?プーチン大統領が「爆発の背後にウクライナ特殊機関」と断定
ロシアが2014年に一方的にウクライナ領から「併合」したクリミア半島とロシア本土を結ぶ唯一の橋が「クリミア大橋」だ。全長19キロとヨーロッパ最長。自動車と列車がケルチ海峡を横断できる。ロシアによる「クリミア併合」の象徴となっており、2018年の道路部分の開通式典では、プーチン大統領が自らトラックを運転して橋を渡るパフォーマンスを見せていた。
2022年2月から始まったウクライナ侵攻では、南部のロシア軍に戦車や武器などの物資を運ぶ補給路として使われている。ウクライナ政府はクリミア大橋を「ロシアによる違法建築」としており、大統領府の顧問を務めるアレストビッチ氏は7月16日、「技術的に可能となれば攻撃対象となる」と発言していた。
「ウクライナ治安機関の特殊作戦」によるものとする報道がウクライナ国内で出ているが、政府は声明を発表していない。ロシアのプーチン大統領は「爆発はウクライナの特殊機関」によるものとの10月9日に断定している。