「意識を保った脳外科手術」をTwitterでライブ中継:UCLA【動画】

ロサンゼルス発――それは、ロナルド・レーガンUCLA医療センターがこれまでに数百回(正確には499回)実施してきた、単純な脳外科手術だった。しかし、5月23日(米国時間)に行われたこの脳外科手術は、同病院で500回目になる脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)手術を記念して、動画投稿アプリ「Vine」を利用して、世界で初めて動画でライブ中継された。

ロサンゼルス発――それは、ロナルド・レーガンUCLA医療センターがこれまでに数百回(正確には499回)実施してきた、単純な脳外科手術だった。しかし、5月23日(米国時間)に行われたこの脳外科手術は、同病院で500回目になる脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)手術を記念して、動画投稿アプリ「Vine」を利用して、世界で初めて動画でライブ中継された。

同病院の神経科医ネイダー・ポウラティアンが、「お手本のような」脳ペースメーカー埋め込み手術と形容したこの手術は、6秒動画を共有するアプリ「Vine」と画像共有アプリ「Instagram」の写真を使って記録され、同病院のTwitterアカウント(@UCLAhealth)にリアルタイムで投稿された。

患者は、2006年に進行性の神経障害による本態性振戦(自分の意思に反して手や足などがふるえてしまう状態)と診断された、俳優のブラッド・カーターだ。

米国には、パーキンソン病の患者が100万人以上、本態性振戦が1000万人前後いると推定されている。脳深部刺激療法は、パーキンソン病や本態性振戦の治療として行われるもので、ペースメーカーを埋め込み、パルス刺激を継続的に脳の患部に当てて、症状を緩和するものだ。

UCLAの手術では、患者は手術中も意識があり、医師たちがペースメーカーの正しい位置を確認できるように、いくつかのテストに応じるよう求められる。

Vineによる手術動画では、医師たちがペースメーカーを適切に設置した結果、カーター氏のギターの腕前が向上する様子がわかる。動画には、カーター氏が腕を前に伸ばすなど、日常的な動作のテストをするところも映っている。

ポウラティアン医師によると、同氏の仕事のひとつは学生や見学者に手術プロセスを説明することであり(意識を保った脳手術の場合は、患者自身に説明することも含む)、今回のTwitterでの公開はその延長にすぎないという。

『ロサンゼルス・タイムズ』紙の記事によると、Twitterを利用したライブ手術はUCLAが初めてではない。テキサス州ヒューストンにあるMemorial Hermann Northwest Hospital(ハーマン記念北西病院)が2012年2月に心臓切開手術をTwitterでライブ中継している。また、英国のSpire Bushey Hospital(スパイア・ブシー病院)が、今年に入って股関節手術のVine動画を投稿している。

Indiana University Health(@IU_Health)でも、昨年6月に生体腎移植手術をTwitterでライブ中継している。

以下、今回行われた手術のハイライトとなるVine動画を紹介しよう。手術の開始から終了までの投稿を見たい人は、UCLAのTwitterアカウントにアクセスしてほしい。

カーター氏が、手術の間に演奏テストを行うギターを示している。本態性振戦の症状がギター演奏に悪影響を与えていたので、手術中に演奏状態を確認したい、と自身で依頼していた。

ペースメーカーを入れる位置を確認するため、CTスキャナーに入れられるカーター氏。

外科医たちが皮膚と骨を切り込んでいく。その場面自体は映っていないのでご心配なく。ただ恐ろしいドリルの音が響いているだけだ。

カーター氏は意識を保っており、手術台から母親に向かって挨拶している。

専門医がペースメーカーを調整する前に、ギターを弾いてみせるカーター氏。

腕が震える様子を医師に見せるカーター氏。

ペースメーカーが効き、腕は震えなくなった。

ギターも非常にスムーズになった。

[Anna Almendrala 日本語版:平井眞弓、合原弘子/ガリレオ]

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