アメリカで学んでいる留学生が、帰国を迫られるかもしれない。
アメリカの移民税関捜査局(ICE)は7月6日、オンライン授業しか受けられない学生は、アメリカ国内の滞在を許可しないとする指針を発表した。
新型コロナウイルスによる一時的な措置であり、2020年秋の授業から適用される。従わない場合は、強制送還される可能性もあるという。
■帰国か転校か
対象になるのは、学業や技術研修を目的とするためにアメリカに留学している人たちだ(F-1、M-1ビザ保持者)。
ICEは「全授業をオンラインで実施している学校の留学生は、オンライン授業のみの受講でアメリカ国内にとどまることはできない」としている。
また、「全授業をオンラインで実施する学校に入学する予定の学生には、ビザを発行しない」方針も示している。
教室での授業がある場合は、オンライン授業と並行して受講することで、アメリカ国内にとどまることができる。
しかし、学校が教室での授業をオンライン授業に切り替えた、もしくは留学生が授業を変更してオンライン授業のみの受講になった場合は、学校はそのことを10日以内に報告しなければならないと書かれており、厳しく監視する姿勢をみせている。
オンライン授業のみの学校に通う留学生への救済策として、ICEは教室での授業を行う学校への転校を示唆する。
ただ、多くの学校が新型コロナウイルスの対策を迫られる中で転校手続きをするのが難しい可能性はある。
さらに、転校先で望む授業が提供されないこともあり、転校は必ずしも望ましいオプションとはいえないだろう。
■新型コロナを理由に外国人を排除する姿勢
アメリカの多くの大学は、新型コロナウイルスの影響で、全授業もしくは授業の大半をオンラインでする方針を示している。
例えば、ハーバード大学は6日に、最大で40%の授業を教室で行う方針だと発表したが、全ての学生が教室での授業を受けられるわけではない。また、教科指導は全てオンラインでの実施だ。
これまで、トランプ政権は、新型コロナウイルス感染拡大を理由に移民に対して厳しい制限を課してきた。
6月には、国内の雇用を確保するため、一部就労ビザの年内の発給を停止すると発表している。
日米教育委員会によると、2018-19年のアメリカの大学・大学院に在籍する留学生総数 109万5299人。そのうち日本人留学生は1万8105人と全体の1.7%を占め国別では第8位だ。