ナチス政権下で開発された「幻のポルシェ」が競売にかけられることになった。
これは「ポルシェ・タイプ64」と呼ばれる試作車。国威発揚のために計画されたベルリン~ローマ間の1500キロレースの開催に向けて1939年に、フェルディナンド・ポルシェ博士らが開発した。戦後に「フォルクスワーゲン・ビートル」として知られることになる「KdF」をベースにしたスポーツカーだ。
GQ JAPANによると、ビートルの1131cc空冷水平対向4気筒エンジンがチューンアップされて、40馬力をたたき出した。車両重量はわずか585キロ。空力抵抗の少ない流線型の美しいボディーによって、最高時速140キロに達したという。
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ベルリン~ローマ間のレースは第二次大戦が始まったことで中止されたが、量産スポーツカーのためのテストとして3台のみ生産。戦後に生み出されたポルシェ初の市販車「ポルシェ356」の開発へと繋がった。
「タイプ64」は、ポルシェ家の自家用車などとして使われたが、現存しているのは3号車の1台のみだ。
■「ポルシェの起源で、会社の伝説を生み出した車です」
「RMサザビーズ」によると、8月15〜17日にアメリカ・モントレーで開かれる同社のオークションに「タイプ64」が出品される。共同通信によると、落札価格は2千万ドル(約22億円)を超えると予想されている。
RMサザビーズの自動車専門家、マーカス・ゴリッグ氏は「タイプ64がなければ、ポルシェ356、550、911はありません。ポルシェの起源となる物語であり、会社の伝説を生み出した車です」と話しているという。
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