Twitterが「認証バッジ」の運用見直しと、リクエスト受付の一時停止を告知しました。
さらにTwitterが定めたルールに違反したアカウントに対しては、これまで与えた認証バッジの取り消しも始まっています。
名前のあとに付く認証バッジ(Verified badge)は、そのアカウントが名前とプロフィールどおりの本人かどうかをTwitter が確認した(Verified) ことを示す仕組み。
なりすまし被害に遭いやすい著名人やブランドもよく付けていますが、従来からジャーナリストに多く与えられてきたことが示すように、アカウントの人品骨柄や発言の内容ではなく、そのツイートが誰の発言なのか、発信元を確認できるようにすることが本来の目的です。
しかし、最近のTwitter上でのヘイトスピーチや嫌がらせ、暴力の扇動、脅迫といった問題について、対応が不十分だとTwitter社への批判が高まるなかで、「そもそも差別発言や暴力を扇動するようなアカウントにも「Twitterが認めた」証があるのはどういうことか、発言の内容やアカウントにお墨付きを与えているのか」といった声があがっていました。
4 / We're working on a new authentication and verification program. In the meantime, we are not accepting any public submissions for verification and have introduced new guidelines for the program. https://t.co/j6P0HGXIVq
— Twitter Support (@TwitterSupport) 2017年11月15日
Twitterはこの批判に対して、もともと本人または公式であることを確認するためのものではあるが、内容や発言の価値についてもTwitter運営が認めているという意味合いが広まってしまった、特に一般からの認証バッジリクエストを受け付けたことで、この誤解が拡散してしまった、もっと以前からはっきりと区別することが必要だったと認め、謝罪しました。
さらに対策として、
1. 新しい認証プログラムを作成中
2. 一時的に、一般からの認証バッジリクエストの受け付けを停止
3. 認証プログラムについて新しいガイドラインを公開。特定の条件で、認証バッジを失うことを明記
4. 現状で認証バッジを得ているアカウントに対しても再審査し、ガイドラインに外れた行いが判明した場合はバッジを取り消す
ことを明らかにしています。
ガイドラインは現時点で日本語ページが用意されていませんが、英語のTwitter サポートページには、認証バッジはTwitter側の判断でいつでも事前警告なしに外せること、Verified バッジを失う条件が列挙されています。一例を示せば、
・表示名やプロフィールを書き換えて、意図的に誤認をさせること
・人種や民族、出身、性的指向、性別、性自認、進行、年齢、障害、傷病などを理由に、憎悪、暴力、脅迫やその助長をすること
・他者へのハラスメントをすること、または助長
・自傷や自殺を含む、暴力や危険な行為
・特定の人物やグループに対して、テロの扇動を含むあらゆる物理的な暴力を、直接・間接的に脅迫すること
・Twitterルールの違反
等々。(上記はあくまで参考の雑訳。正確な文言はリンク先かTwitter Japanの翻訳をお待ちください)。
すでにTwitter ルールで禁じられているように、自傷・自殺ツイートや助長もバッジ剥奪の理由になるようです。
Twitter 上のヘイトスピーチや嫌がらせ、脅迫、リアルな暴力につながる扇動などが大きな問題となっている米国では、再審査によりすでにバッジの取り消しやアカウント停止が進んでいます。
(そしてバッジを取り消されたアカウントは案の定、「このようにTwitterから迫害を受け、発言を封殺されることこそ、わたしの正しさの証明である」的な勝利宣言をしたりしています)。
先日ご案内したように、認証バッジのプログラムに変更を行います。ご本人であることを意味する認証バッジですが、「Twitterに(価値を)認められたアカウント」という意味合いが広まってしまいました。この違いをもっと以前に明確にすべきでした。申し訳ございません。 https://t.co/QFbMthzvp4
— Twitter Japan (@TwitterJP) 2017年11月15日
「あくまで発信元の確認であって、価値や内容を認めたものではない」といいつつ、発言内容に応じて罰則的に剥奪するのでは、逆にバッジがある種のステータスであったり特権であったことを追認するような気がしないでもありません。
しかしTwitter自体も反省するように、もともとの意図はどうあれ、現時点で認証バッジ=「Twitterお墨付き」と思われているのが現状です。
また認証バッジが積極的なお墨付きを意味するものでないとしても、Twitter運営は少なくとも審査のタイミングでアカウントについて認識していたはずで、その時点で停止にもならず認証されたならば、少なくともルール違反はしていない、Twitter的に問題のないアカウントであるという消極的なお墨付きといわれても否定しづらいことは確か。
ハラスメントやヘイトスピーチをサービスとして助長することで利益を得ているのではないか、どうにかしろとの批判に対して、Twitterは改善への努力を約束しつつ、サービスのスケールからすべてを常に審査することは現実的でないと応えてきました。しかし認証済みバッジを与えたアカウントの振る舞いについても関知しないとは言いづらいことも、再審査が進んでいる理由と考えられます。
さらにいえば、バッジは単に本人の確認であると言いつつ、Twitterは認証済みのユーザーでなければ見えないインターフェースや、使えない機能を用意しています。主に多数のフォロワーがいる場合に必要になってくる機能ですが、「認証済みユーザーからの反応のみ通知する」といったフィルタの存在は、本人確認を超えて発言の影響力を増しているともいえ、バッジがある種の特権であり便宜として機能していることも確かです。
(2017年11月16日Engadget日本版「Twitter、批判受け認証バッジの仕組みを改定。再審査でルール違反者からの剥奪を開始」より転載)
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