Twitterの「リプライ非表示」は激しい賛否の議論を呼んでいるが、カナダでの初期テストに続いて、米国時間9月19日、米国と日本でこの機能が一般公開された。Twitterによればこれは「ユーザーが会話をよりよく管理できるようにする」ことを目標とする根本的な改革の一環だという。新機能では自分のツイートに向けられたリプライを「無関係、攻撃的もしくは意味不明」と考えた場合、非表示にできる。
ただし非表示にされたリプライはTwitterから削除されるわけではなく、 クリックひとつで再表示可能だ。
例えば、会話に加わったユーザーのリプライが不適切、無礼、いじめに類すると考え、そのリプライを非表示にすればタイムラインを見ているメンバーの大半の目に触れなくなる。ただし削除されているわけではないので「非表示のリプライを表示する」をクリックすれば見ることができる。
そもそも他のソーシャルネットワークでは返信者にTwitterほどの勝手を許さないことが多い。FacebookやInstagramでは、ユーザーは自分の投稿に対する返信は自由に削除できる。しかしこれまでTwitterは「誰もが自由に発言できる広場」を理想としてきた。
残念ながらこうしたTwitterのオープンな性格は無礼な攻撃やネットいじめを生んできた。これまでTwitterのユーザーの対処手段は対象となるアカウントをブロック、ミュート、あるいは報告することだった。しかしブロックとミュートは自分のTwitter体験そのものに影響してしまう。ユーザーはブロック、ミュートしたユーザーからの投稿すべてを目にすることができなくなる。ツイートが不適切だと報告した場合、実効を得るまでの手続きが複雑で時間もかかる。スレッドが暴走し始めたような場合にとっさに対処するには不向きだろう。
こうした問題に対処しようとするのが「リプライ非表示」だ。しかしこの機能能力にはデメリットもあリ得る。ユーザーが非表示にしたリプライにはなんら問題はないかもしれないし、それどころかユーザーが拡散しようとしている情報が間違っていると指摘しているかもしれない。
Twitterではこの新機能が 「会話を建設的にするために役立つ」ものと期待しているようだ。同社の会話のヘルス担当プログラム・マネージャーであるMichelle Yasmeen Haq(ミッシェル・ヤズミーン・ハック)氏は今年に入ってそう説明している。
7月にカナダで初期テストが開始された後、Twitterは「(この機能の)利用者はたいていの場合、無関係、攻撃的もしくは意味のわからない返信を非表示にしている。、キーワードのミュート機能と同じように、会話の管理に役立つと考えている」と述べ、ユーザーからのフィードバックはおおむね肯定的だったと結論している。
Twiitterによれば、リプライを非表示にされたユーザーの約27%は将来ソーシャルネットワークで相手とどのようにやり取りすべきか考え直すと回答しているという。27%というのは過半数ではないが、利用率に影響する可能性がある数字だ。ただしこの調査がどの程度実態に即したものか不明だ。Twitterではこの調査のサンプル数などの詳細を明かすことは避けた。
新システムではリプライを非表示にしようとすると「アカウントをブロックする」というオプションも示される。これは「非表示」が「ブロック」とは異なる機能だということを明示するためだろう。
今回カバー地域が大幅に拡大されたものの、Twitterでは「リプライ非表示」はあくまでテスト中の機能だとしている。同社はフィードバックなどをベースにシステムをさらに検討するという。この機能は世界の他の地域では公開されていない。
新機能は、モバイル、デスクトップとも米国と日本ではすでに公開されている。
2019年09月20日TechCrunch Japan「Twitterが日米で「リプライ非表示」をスタート」より転載
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