トランプ関税の根拠になる「計算式」が物議。識者は「恥ずかしい」と反応

世界各地への「相互関税」を発表したトランプ政権。根拠として、非常に複雑な計算式を挙げているが、経済学者からは衝撃を受けたという声が上がっている
ホワイトハウスで相互関税について発表したトランプ大統領(2024年4月2日)
ホワイトハウスで相互関税について発表したトランプ大統領(2024年4月2日)
via Associated Press

アメリカのトランプ大統領は4月2日、世界中の国や地域に課す「相互関税」の税率を公表した

相互関税とは、高い関税を課している貿易相手国に対する関税を、同じ水準まで引き上げることだ。トランプ氏は、相互関税はアメリカの輸出品に他国が課している関税への報復だとしている。

ホワイトハウスが発表したリストには「他国のアメリカに対する関税」と「アメリカが課す関税」が記載されている。

相互関税の税率が書かれた票を掲げるトランプ氏(2025年4月2日)
相互関税の税率が書かれた票を掲げるトランプ氏(2025年4月2日)
Chip Somodevilla via Getty Images

しかしトランプ政権が相互関税の根拠とする「他国のアメリカに対する関税」の計算方法が疑問視されている。

シンクタンク、タックス・ファウンデーション副代表のエリカ・ヨーク氏は、相互関税を導き出した計算式について「恥ずかしい」とコメント

アメリカン・アクション・フォーラム代表で保守系経済学者のダグラス・ホルツ=イーキン氏も「誤りだ」と投稿している。

トランプ政権は「他国のアメリカに対する関税」をどうやって算出したのか。

相互関税が発表された後、「この税率はアメリカの貿易赤字を、その国のアメリカへの輸出額で割った数値ではないか」という意見がソーシャルメディアに投稿された。

ジャーナリストのジェームズ・スロウィッキー氏も同じ考えを持っており、トランプ政権が主張する税率は「でたらめ」だとXに投稿している。

「関税率+非関税障壁を計算していません。したと言っていますが。相互関税は、アメリカの貿易赤字を、その国のアメリカに対する輸出額で割っただけの数字です」

一方、ホワイトハウスのクシュ・デサイ報道官はこの分析を「誤りだ」とXで反論し、根拠となる計算式を記載したアメリカ通商代表部(USTR)のウェブサイトの画像を添付した。

USTRのウェブサイトに記載されているのは、非常に複雑に見える計算式だ。

USTRはこの計算式について、「関税や非関税政策、および経済的な基本要因によって貿易赤字が継続している場合、それらの政策や要因を相殺するための税率が相互で公正となる」とウェブサイトで説明している。

これに対し、タックス・ファウンデーションの経済学者アラン・コール氏は、「デサイ報道官は計算式を本当に理解していないのではないか」とハフポストUS版の取材に述べた。

「彼らはこう考えたのではないでしょうか。『我々の計算式はより複雑で賢そうに見える。ギリシャ文字もたくさん使っている。ただの単純な割り算のはずがない』と。しかし、結局は同じ計算式です」

トランプ氏は長年、貿易赤字は悪だと主張してきた。相互関税を発表した2日には「近いか遠いか、味方か敵かに関わらず、我が国は略奪、強奪、蹂躙されてきた」と発言した。

また、トランプ氏は、関税を導入することでカナダやメキシコからフェンタニルが流入するのを阻止し、国内での生産を押し上げ、政府の財源を増やせるとも主張している。

しかしコール氏は、アメリカは他国で安く作られた製品を多く購入しているものの、支払ったお金は米企業や政府債務への投資として戻ってくることが多いと指摘する。

「アメリカはあらゆる種類の投資のハブです。世界中の人々はアメリカの金融資産を好んで購入しています。その引き換えに商品を私たちに提供しています。これが長年にわたって機能してきた世界の仕組みで、アメリカが貿易赤字を抱えている理由です」

「そうであるのならば、例えばなぜ、アメリカで衣料品を縫うという作業をやる必要があるのでしょうか? 関税の多くは、東南アジアとの二国間貿易の不均衡に基づいています。しかし、東南アジアは繊維製品の製造に長けているのです」

関税はアメリカの輸入業者が支払い、そのコストは全額または一部が価格に上乗せされる。

そのため、トランプ関税はアメリカの消費者に対する大幅な増税となる可能性がある。

また、関税で物価が上昇して経済成長が鈍化し、場合によっては景気後退を招く可能性もあると経済学者たちは警告している。

保守系シンクタンク、マーカタス・センターの経済学者デビッド・ベックワース氏は「これはアメリカの歴史上、最大の経済的な自滅ミスの一つになるだろう」とXに書き込んでいる。

ノーベル賞を受賞したリベラル派の経済学者ポール・クルーグマン氏も、相互関税の計算式に衝撃を受けたと述べている

「世界経済の運命が危機にさらされている時には、政策そのものと同じくらい、政策決定プロセスにおける悪質な愚かさも重要です。ビジネス関係者であろうが外国政府であろうが、このように振る舞う政権から出てくるものを、誰が信用できるというのでしょうか?」

関税のもう一つの問題は、誰も止められないという点だ。

第1次トランプ政権下で内務長官を務めた共和党のライアン・ジンキ連邦下院議員は、「関税は大統領が好んで使う手段です。なぜなら、個人の権力だからです」とハフポストUS版の取材に述べた。「議会を通す必要がないので、個人の力で行使できるのです」

ハフポストUS版の記事を翻訳しました。

注目記事