ドナルド・トランプ前大統領はこれまで、Qアノン信者と一定の距離を保とうとしている姿勢を見せてきた。
しかし、アメリカ大統領選の投開票日を約2カ月後に控え、自身を支持するQアノンの主張や、女性蔑視の攻撃をより明確にソーシャルメディアで拡散するようになっている。
Qアノンとは、「児童売春組織を運営する民主党議員やハリウッドや財政界の大物らによる『ディープ・ステート(闇の政府)』がアメリカを支配している」という根拠なき主張だ。この陰謀論で、トランプ大統領は「ディープ・ステートと秘密裏に戦う救世主」として信者から崇められている。
トランプ氏は8月末、自身が立ち上げたSNS「トゥルースソーシャル」で、Qアノン関連の投稿を立て続けに拡散した。
そのうち1枚は、トランプ氏が稲妻に挟まれながら兵士の間を歩くイラストで、背景には、2つの目が描かれたアメリカ国旗があり、「これから起きることを誰も止められない」と書かれている。
またトランプ氏が拡散した別の画像には、Qアノンのスローガン「1人が行くところに、我々全員が行く(where we go one, we go all)」を略した「WWG1WGA!!!」というメッセージが書き込まれている。
トランプ氏の賛同は陰謀論だけではなく、女性蔑視にも及んでいる。
同氏は、2016年大統領選挙の民主党候補ヒラリー・クリントン氏と2024年候補のカマラ・ハリス氏が並んで写っているモノクロ写真に書き込まれた「面白い。フェラチオが両者のキャリアに別々の影響を与えた……」というX上のコメントのスクリーンショットを、拡散している。
他にも「バラク・オバマ元大統領がバイデン政権を密かに操っている」という陰謀論を肯定するかのように、「すべての道はオバマに通ず」「公開の軍事裁判を望むなら拡散を」と書かれた画像も拡散している。
トランプ氏が、陰謀論や女性蔑視、差別的なメッセージを拡散する背景には、ハリス氏の躍進があると考えられている。
トランプ陣営の報道官カロリン・リービット氏は8月29日にCNNに出演した際に、大統領候補であるトランプ氏がなぜQアノンや女性蔑視的なコメントを拡散しているのかについて聞かれたものの明確な説明をせず、「視聴者がソーシャルメディアへの投稿を気にしているとは思えません」と述べて話題を変えようとした。
また、リービット氏はワシントンポストの取材でも、同メディアがトランプ大統領の「わずかなソーシャルメディアへの投稿」や「否定的な記事」に不当に注目していると主張した。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。