米大統領選挙の共和党候補ドナルド・トランプ氏は9月10日(現地時間)、ペンシルベニア州で行われたテレビ討論会で「ハイチから来た移民がアメリカ人の飼っているペットを食べている」という人種差別的な発言をした。
「移民がペットを食べている」は、トランプ氏の支持者らの間で広まっている、虚偽の主張だ。
討論会前日の9日には、副大統領候補のJ.D.ヴァンス上院議員がオハイオ州スプリングフィールドで「この国にいるべきではない人々にペットが誘拐され、食べられている」とXに投稿している。
一方、オハイオ州当局はこの主張を否定している。それにもかかわらず、トランプ氏は討論会で「スプリングフィールドで、移民が犬を食べている」と発言した。
「この国に入ってきた人たちが猫を食べている。住んでいる人たちのペットを食べている。それが私たちの国で起きていることだ。ひどい話だ」
この発言を聞いたハリス氏は、驚いたように笑い、マイクがオフの状態で「何を言っているの。信じられない」と言ったと会場にいた記者らが伝えている。
トランプ氏の発言はファクトチェックされた。
共同司会者のデイビッド・ミュアー氏は「市当局に確認したが、移民によってペットが傷つけられたという信頼できる報告はない」と指摘。それでもトランプ氏は「犬が連れ去られて食べられたとテレビで言っていた人たちがいた」と食い下がった。
トランプ氏は討論会で、スプリングフィールドなどで「移民が街全体を占拠して暴力行為に及んでいる」とも主張している。
オハイオ州スプリングフィールドでは近年、ハイチからの移民が大幅に増加しているが、トランプ氏やヴァンス氏の主張を裏付ける証拠はない。
「ハイチ移民がペットを食べている」というのはインターネット、特に極右のXアカウントで拡散されている虚偽の情報だ。
スプリングフィールドから車で約3時間離れたオハイオ州カントンで8月に、住民が猫を殺して食べる事件があった。しかし逮捕されたのは、移民ではなくアメリカ市民だった。
それでも、トランプ氏の支持者らは「行方不明になった猫がハイチ移民の家の木に吊るされていた」などの根拠なき投稿を拡散している。
トランプ氏は移民のせいでアメリカが危険になっていると主張しているが、様々なデータから、移民の犯罪率はアメリカ人よりも低いことが示されている。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。