
トランプ政権は4月14日、政府の要求を拒否したハーバード大学に対し、22億ドルの複数年の助成金と6000万ドル相当の複数年契約を凍結すると発表した。
トランプ政権は事前に、政府の要求に従わなければ90億ドルの助成金を凍結するとハーバード大学に通告していた。
しかしハーバード大学は14日、トランプ政権の要求に従うことはできないとする学長声明を出していた。
助成金凍結を発表したトランプ政権の「反ユダヤ主義対策合同タスクフォース」は、ハーバード大学の声明を「名門大学に蔓延している、厄介な特権意識をさらに助長するものだ」と非難。
「ここ数年、大学のキャンパスを悩ませている学習妨害やユダヤ人学生への嫌がらせは容認できるものではありません。名門大学が今後も納税者の支援を受けたいのであれば、この問題を真剣に受け止め、意味のある変化に取り組むべき時だ」と述べている。
しかし、政府が4月11日にハーバードへ送った書簡で求めていたのは、ユダヤ人学生の保護だけではなかった。書簡には次のような要求が含まれていた。
▽意義ある統治改革と組織再編
▽採用や入学での、人種や肌の色、宗教、性別、または出身国に基づく優遇措置の廃止
▽アメリカの価値観や制度に敵対的な外国人学生の拒否
▽第三者機関による大学の監査の実施、
▽反ユダヤ主義的な嫌がらせを助長する、あるいはイデオロギー的支配を反映しているプログラムや学部に対する監査
▽DEI(多様性、公平性、包括性)プログラムの廃止
▽学生の懲戒方針や説明責任の改革
▽政権が求める改革に従わない場合に、大学や政府に通報し、その内部告発者を保護する制度の導入
▽政権の要求の進捗状況を、四半期ごとに政府に報告する文書の提出
トランプ政権はこれらすべての改革を2025年8月までに実施するよう求めていた。
これに対し、ハーバード大学の代理人を務める弁護士は14日、政府宛の書簡で改革要求を拒否することを通達。その一方で、政権の法的権限の範囲内での対話に応じる用意があると述べていた。

また、ハーバード大学のアラン・ガーバー学長も14日の声明で、政府の要求は憲法修正第1条で保障された大学の権利(表現の自由など)を侵害するもので、受け入れられないと伝えた。
ガーバー学長は声明で、要求には反ユダヤ主義対策も含まれているが、「大半はハーバードの『知的環境』に対する政府の直接的な規制を意味するものだ」と指摘。
「ハーバード大学はその独立性を手放すことも、憲法上の権利を放棄することもありません」と述べている。
また、助成金で「医療や工学、科学など幅広い分野での画期的なイノベーションがもたらされてきた」として、政府が大学とのパートナーシップを解消すれば「何百万人の健康と福祉だけでなく、国の経済保障と活力にもリスクをもたらすことになる」と伝えている。
大学は学問の自由が保障されている場所だが、トランプ政権は、複数の大学がリベラルに偏っているとして取り締まりを強化している。その一つ、コロンビア大学は3月に政権の要求を受け入れた。
政府は他にも、ジョージ・ワシントン大学、ジョンズ・ホプキンス大学、ニューヨーク大学、ノースウェスタン大学、ミネソタ大学、南カリフォルニア大学、カリフォルニア大学バークレー校、カリフォルニア大学ロサンゼルス校にも同様の要求をしている。
ガーバー学長は「どの政党が政権を握っていようとも、政府が私立大学に対して、何を教えるべきか、誰を受け入れ雇用すべきか、どの分野の研究を行うべきかを指示するべきではありません」と声明で強調している。
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。