アメリカのドナルド・トランプ次期大統領が1月7日、「メキシコ湾」を「アメリカ湾」に改名する意思があると記者会見で発言した。
トランプ氏は、その理由を「我々のものだから」と主張している。
メキシコ湾は北側はアメリカ、南と南西部はメキシコ、南東部はキューバに接している。
この海域は、スペインの入植者によって1540年代に「メキシコ湾」や類似の名称をつけられ、今日まで使われ続けている。
しかしトランプ氏は「この場所で仕事をしているのはほとんど我々であり、我々のものだ」と主張。
「メキシコ湾の名前をアメリカ湾に変更する予定だ。この名前には多くの領土をカバーする美しい響きがある。アメリカ湾――なんて美しく、ふさわしい名前だ」という持論を展開した。
トランプ氏の発言後、共和党のマージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員はメキシコ湾名称変更のための法案を提出すると発表した。
トランプ氏による名称変更が、アメリカとメキシコ間の海上境界線に影響を及ぼすことはないだろう。また、トランプ氏はメキシコ湾を「我々のものだ」と主張したが、どの国も国際水域を所有することはできない。
さらに「メキシコ湾」という名前と関連する資産の修正や削除に、数百万ドル規模の費用がかかる可能性がある。
メキシコ湾の名称変更を提案したのは、トランプ氏が最初ではないものの、本気で変えようとする動きは初だ。
2012年には、民主党のミシシッピ州議会議員(当時)スティーブン・ホーランド氏がメキシコ湾をアメリカ湾に変更する法案を提出している。
しかしホーランド氏は後に、法案提出はメキシコ出身者に敵対的な共和党議員を風刺するためだったと説明している。
アメリカは2010年に、メキシコ湾で大規模な原油流出事故を起こしている。
この事故では、BP社の掘削リグ「ディープウォーター・ホライズン」が爆発・炎上し、石油産業史上最大の原油流出が起きた。この大規模な事故と災害があったにも関わらず、トランプ氏は前回の大統領任期中に、原油流出を防ぐための規制を緩和している。
トランプ氏は12月には、北米最高峰の山「デナリ」を「マッキンリー」に改名するとも発言した。
この山は2015年まで、第25代大統領のウィリアム・マッキンリーにちなんでマッキンリーと呼ばれていた。
しかしバラク・オバマ大統領(当時)がアラスカ先住民の強い意向を受け入れ、先住民族の言葉で「高いもの」を意味するデナリに変更した。
トランプ氏はこの変更について「マッキンリー山から彼の名前を取り去った。彼は偉大な大統領だった」と支持者に向けた演説で述べ、2度目の大統領就任後にマッキンリーの名前を復活させる意向を示した。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。