トランプ大統領は4月15日の記者会見で、新型コロナウイルスが「中国の武漢市内にあるウイルス研究所から広まった可能性があるのでは」という質問に答えた。事実関係について明言は避けた上で、「徹底的に調査している」と述べた。インディペンデントなどが報じた。
■研究所起源の可能性をメディアが報道。トランプ大統領に質問した。
これまでは、武漢市内の海鮮市場が新型コロナウイルスの感染源とする見方が世界的にも主流だった。しかし、アメリカの複数メディアが、中国科学院の「武漢ウイルス研究所」が新型コロナウイルスの感染源の可能性があるとみて、アメリカ政府が調査していると報じている。
ワシントン・ポストのコラムニストは14日、アメリカの政府当局者が中国科学院の「武漢ウイルス研究所」を2018年に訪問した際に、「コウモリのコロナウイルスの研究をしているが、安全対策などが不十分だ」との懸念を示す公電を送ったと報じた。
翌15日、保守的な論調で知られる「FOXニュース」は複数の情報源からの話として、新型コロナウイルスの起源は武漢ウイルス研究所の可能性が高まっていると報じた。研究員がコウモリから新型コロナウイルスに感染したことがきっかけで、武漢市内で市中感染が広がったとしている。
FOXニュースのジョン・ロバーツ記者は同日の記者会見で、トランプ大統領にこの報道に関する意見を尋ねた。トランプ大統領は、以下のように話した。
「えーと、ジョン、私はそれを言いたくないんだ。その話はより頻繁に耳にするようになっているし、そのうち分かるようになるだろう。あなたが 『複数の情報源』と言うときは、『情報源』という言葉が使えるケースだが、私たちは、現在起きている恐ろしい状況を徹底的に調査している」
■中国政府は報道を否定
中国政府は、今回のFOXニュースの報道を明確に否定している。
朝日新聞デジタルによると、中国外務省の趙立堅副報道局長は16日の定例会見で「中国の立場は明確で、専門家の研究に委ねるべきだ」と強調。「世界保健機関(WHO)は研究所流出説に『いかなる証拠もない』と表明し、世界の専門家も科学的根拠はないとしている」と語ったという。