アメリカ大統領選挙の共和党候補ドナルド・トランプ氏の陣営が、人種差別的な写真とコメントで民主党のカマラ・ハリス副大統領を批判している。
トランプ陣営は8月13日、それぞれ「トランプ政権のあなたの近所」、「カマラ政権のあなたの近所」と書かれた2枚の写真を公式Xアカウントに投稿した。
「トランプ政権」に写っているのは閑静な住宅街にあるアメリカ国旗を掲げた屋敷だ。
一方「カマラ政権」には、ニューヨークのルーズベルトホテル前で仮住まいを求める移民らを写した2023年の写真が使われている(現在ルーズベルトホテルは住む場所のない移民の受け入れ先になっており「新しいエリス島」と呼ばれている)。
写真の移民はほとんどが非白人で、「第三世界を持ち込めば、第三世界になるだろう」というコメントが添えられている。
移民問題を差別に
国境警備と移民問題は大統領選挙の争点で、ハリス氏や民主党も移民を規制する方針を示している。しかし、トランプ陣営の姿勢はより人種差別的、反移民的だ。
トランプ氏は8月12日にイーロン・マスク氏とXで対談した際も、移民への批判を繰り返した。
トランプ氏は対談で移民による凶悪事件が起きていると述べ、「粗暴な奴らだ」「我々(アメリカ)の犯罪者が良い人間に見えるような犯罪者だ。恐ろしい連中だ」と発言している。
また、トランプ氏は再び、アメリカとメキシコの国境に壁を建設することを重要な公約に掲げており、自分が大統領になれば滞在許可証を持たない移民をすべて強制送還するとも約束している。
人種差別を続けるのか
保守系ニュースサイト「ブルワーク」によると、トランプ陣営の中には、1988年の大統領選挙で共和党候補のジョージ・H・W・ブッシュ氏が、民主党候補のマイケル・デュカキス氏に対して使った人種差別的な「ウィリー・ホートン」作戦をハリス氏に対して仕掛けるべきだと考える人もいるという。
ウィリー・ホートンは、デュカキス氏が知事を務めていたマサチューセッツ州の刑務所に服役していた囚人で、州法で認められていた一時帰休時に、強姦殺人を犯した。
ブッシュ陣営は、このウィリー・ホートンを批判する選挙広告を流して黒人に対する差別的な恐怖をあおり、自身は犯罪に厳しいがデュカキス氏は甘いという印象を生み出して、選挙戦を有利に進めた。
トランプ氏は、ハリス氏への対抗策としても、ウィリー・ホートン広告のような人種差別的な手段を使っていくのか。
トランプ氏はこれまで、ハリス氏が黒人であることを疑問視するような発言などもしている。
ニューヨークタイムズによると、共和党の献金者やトランプ氏の顧問からは、露骨な人種差別が有権者離れを招くことを恐れて、人種攻撃ではなく政策批判するよう求める声が上がっている。
しかし、トランプ陣営が13日に投稿した写真は、ハリス氏の移民政策を攻撃する時にも、人種差別的なトーンを消すのが難しいことを示している。
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。