4月24日にスタートした『東京レインボープライド 2021』のトークイベントに、日本文学研究者で早稲田大学特命教授のロバート キャンベルさんが出演。
同性婚の実現など、LGBTQの人たちの権利が平等に認められる社会にするために、私たち一人一人ができることがあると語った。
銀河になりつつある自治体。動かない国政
キャンベルさんは2018年に、20年近くをともにしてきた同性パートナーがいることを公表した。
その時に比べると、この1年くらいで日本で多様性への理解が3倍、4倍速くなっていると実感していて、特に若い人たちの間でダイバーシティの広がりの勢いを感じているという。
また自治体のパートナーシップ制度がもたらす効果について「区や市や町や県など3、4年くらい前までは点々と星が光っていたようなところが、銀河みたいに光のリボンのようにつながっています。日本の人口の大半がパートナーシップ証明書の制度の中でカバーされています」と述べ、同制度を通して、日本社会にLGBTQの人たちへの理解が広がっていると歓迎した。
その一方で、キャンベルさんが変わらないと感じているのが国政だ。
日本では同性婚を支持する人が増えており、特に若い世代では多くの人が賛成している。2019年の調査では、20〜30代では8割が同性婚に賛成していると回答した。
こういった民意を反映する司法の動きもあり、2021年3月には札幌地裁で「同性同士の婚姻を認めないのは違憲」という判断も示された。
しかし政府は結婚の平等を実現する姿勢を見せておらず、菅総理が「(同性婚は)我が国の家族のあり方の根幹に関わることなので、極めて慎重な検討をする必要がある」と述べている。
キャンベルさんは、「多くの人たちが、LGBTQの人たちの権利や平等の実現が社会を強くすると考えるようになっているのに、政治家の姿勢はその社会の動きから乖離している」と指摘。
そういった民意が反映されない政治を変えるため必要なのは一人一人、特にLGBTQの権利や平等の実現を支持する若い世代が投票に行くことだ、と述べた。
投票に加えてキャンベルさんがもう一つ勧めるのが、メールや手紙など様々な形で政治家に声を届けることだ。
「市役所、区役所、区議、市議、代議士にメールを送る、手紙をつづる、電話をかける。その声が、彼ら彼女らにとっては一つの指標になるんです。政治家たちは評価されることが頭にあって動いているわけですから、声がどれくらい積み上がっているのかを伝えるべきだ」と述べた。
キャンベルさん自身は、カミングアウトした前年にアメリカでパートナーと結婚しており「婚姻関係を結んでいるかいないかで、得られる効果や利益が大きく変わる」と話す。
一人一人が声を届けることで、「異性だけではなく同性婚も合法となる日を、日本でも迎えたい」と述べた。