アメリカ最大手の鶏卵生産者「カル・メイン・フーズ」(本社・ミシシッピ州)が3月28日、2023年5月期第3四半期の決算を発表した。スーパーで販売されている卵の価格が高騰していることから、2022年12月〜2023年2月の売上高が前年同期の2倍、利益は大幅増で8倍になった。
同社は「エッグランズベスト」や「ランドオレイクス」などの殻付き卵で知られ、1パック(12個入り)の平均価格は前年の1.46ドル(約195円)から3.68ドル(約490円)に跳ね上がったという。
卵価格の高騰の背景には鳥インフルエンザの発生がある。殺処分されるなどして鶏の数が減り、卵不足に。卵の価格は大きく上昇し、アメリカで2022年に値上がりした商品及びサービスの中でトップになるほどだった。アメリカ政府によると、スーパーでの卵の販売価格は2月に前月比6.7%下落したものの、平均4.20ドル(約560円)と高止まりが続いている。
好決算だったカル・メーンフーズでは鳥インフルの発症はなかったという。同社のシャーマン・ミラーCEO(最高経営責任者)は、決算発表で「バイオセキュリティー対策への投資に力を入れており、高品質の卵を生産し続けて市場に提供することができた」と述べた。
大幅値上げによって消費者が負担を強いられる一方で、生産者が利益を膨らませていることについては問題視する政治家が出てきている。エリザベス・ウォーレン上院議員とケイティ・ポーター下院議員は2月、カル・メイン・フーズなど鶏卵生産者4社に対し、「鶏卵の生産者が鳥インフルや供給ショックに対する恐怖を利用して自らの利益を膨らませている可能性」について質問した。
朝食をはじめ、卵は食卓の人気食材だ。ウォーレン氏とポーター氏は「アメリカの家庭はみんな食卓に食べ物を並べるために働いている。卵の価格上昇が供給ショックによる正当な値上げなのか、企業の欲によるものか知る権利がある」とも述べている。
農家の支援団体である「ファームアクション」は、1月に連邦取引委員会に提出した訴状の中で、卵価格高騰の“真犯人”は生産大手らで、手を取り合って価格を固定して巨利を引き出そうとしているためだとしている。
CNBCによると、カル・メイン・フーズのマックス・ボウマンCFO(最高財務責任者)は、ファームアクションの主張を否定した。ボウマン氏は、アメリカの卵市場について「競争が激しく、通常の状況下でも非常に不安定である」と指摘している。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。