映画俳優組合「SAG-AFTRA」が43年ぶりのストライキに入り、ハリウッドでの映画制作やプロモーション活動が停止している。
俳優のトム・クルーズの来日も急遽取りやめになったが、そのクルーズがストライキ前に、SAG-AFTRAと映画テレビ制作者協会(AMPTP)との交渉を仲介しようとしたと報じられている。
ハリウッド・リポーターによると、クルーズは6月に行われた交渉にZoomで参加し、AIが俳優の労働環境や報酬に与える影響、さらにスタント俳優の問題に対してSAG-AFTRAの立場を支持するようAMPTPに求めた。
その一方で、クルーズ氏は、新型コロナの打撃から回復途上である映画市場にストライキが与える影響について、SAG-AFTRA側に意見を述べたとも伝えられている。
そして妥協点を探るため、ストライキになった場合に俳優は撮影を止める一方で、作品のプロモーションには参加できるようにしてはどうかという提案したという。
その会議に参加していたという情報筋は、このやり取りを「居心地が悪かった」と表現している。
SAG-AFTRAとAMPTPは交渉期限を6月30日から2週間延長して話し合いを続けていたものの、合意に達せず、映画俳優組合は13日にストライキに入ると発表。
アメリカ脚本家組合(WGA)とともに、ストリーミング時代にあわせた公平な支払いや労働条件を求め、14日には映画制作スタジオの前などで抗議活動をした。
ストライキにより、俳優はAMPTPの傘下にあるスタジオの作品製作だけではなく、インタビューやプロモーションツアー、SNSを通じた宣伝にも参加できない。
トム・クルーズも、主演作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』のプロモーションを中止。さらに、同作の後編『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART TWO』のイギリスでの制作は停止している。
SAG-AFTRA会長で俳優フラン・ドレッシャーは14日、「私たちは被害者です。彼らは良い人たちに悪いことをしている。富を共有しようとせず、新しいビジネスモデルにあわせて契約を変更しようとしません」とNetflixのロサンゼルス本社の外で報道陣に語った。