東急不動産がリゾート事業における「ネイチャーポジティブ」を促進。鍵を握るのは「生物多様性の見える化」?

「ネイチャーポジティブ宣言」に参加している東急不動産ホールディングスは、子会社である東急不動産のウェルネス事業ユニットおよび東急リゾーツ&ステイにおいて、リゾート事業地における生物多様性の定量化の検討に着手することを発表した。

地球規模の環境危機に直面している現代、生物や動物の多様性の損失を止め、回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」を促進するアクションが求められている。

東急不動産ホールディングスは、環境省が実施する「2030生物多様性枠組実現日本会議(J-GBF)」が呼びかける「ネイチャーポジティブ宣言」に参加している。

3月27日、子会社である東急不動産(東京)のウェルネス事業ユニットおよび東急リゾーツ&ステイ(東京)において、リゾート事業地における生物多様性の定量化の検討に着手することを発表した。

「生物多様性の見える化」で、リゾート事業地のネイチャーポジティブを促進

同社グループでは「長期ビジョン」及び「中期経営計画2025」において、環境経営を全社方針に設定しており、「脱炭素社会」「循環型社会」「生物多様性」への取り組みを通じ、事業機会の拡大を目指している。

特に「生物多様性」については、多様な側面で事業の直接的な基盤となっていることから、重要な課題と認識しているという。これまでに「生物多様性方針」の策定(2011年)や「TNFD フォーラム」への参加(2023年)および「TNFD レポート」の発行などを通じて、事業におけるネイチャーポジティブへの貢献を見える化(=定量化)させてきた。

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Nauval Wildani via Getty Images

本宣言においても、見える化(=定量化)が大きなキーワードとなっている。

ウェルネス事業ユニットおよび東急リゾーツ&ステイは、自然資本に関するコンサルティングを手掛ける「MS&ADインターリスク総研」と、生物多様性の取り組みをサポートし、自然環境に関する調査等を実施する「地域環境計画」と共同で、リゾート事業地における生物多様性価値の定量化及び生物多様性価値向上のためのアクションプラン策定の検討に着手しているという。

生物多様性の定量的評価は、ネイチャーポジティブを実現していく上で世界的にも重要な課題とされており、今後より注目が集まる要素となることが見込まれている。

同社のリゾート施設における、ネイチャーポジティブ宣言の内容は以下。

1.リゾート施設における地域の生態系・種・遺伝資源の回復のため、希少種等の生息地保護・保全や外来種の駆除、生態系に配慮した土地利用・森林保全を推進し、地域の魅力を向上させていきます。

2.地域にある自然資源の持続的な活用に向け、地産地消食の提供、資源の地域循環等、地域社会との連携により自然環境を活用したリゾートづくりを推進していきます。

3.環境に配慮した原料や資材の調達、アメニティの脱プラスチック等による自然に優しい施設運営とサプライチェーン管理を通して、お客様に自然環境への貢献を提供していきます。

4.生き物観察イベント等の開催、滞在中の生物・自然保全活動など自然に親しむ仕掛けづくりにより、自然に対するお客様の認識向上に寄与していきます。

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