東京のシンボルとして親しまれている東京タワーが、9月末でテレビの電波塔としての役割を終えた。
東京スカイツリーが2012年に電波塔として開業してからも、東京タワーを使って電波を送信していた放送大学が、地上波放送から衛星放送へ完全移行するためだ。しかし、FM放送のラジオ電波の送信は続ける。
水族館も閉館!!
同じ日、東京タワー水族館も、40年間続いた営業を終了した。
今後、東京タワーはどうなるのか。運営する日本電波塔に取材した。
高層ビルが増えたことで...
東京タワーは1958年に営業を開始し、今年で60年。1959年からテレビ各局などが電波を送っていた。だが、都内に高層ビルが増えてきたことで、さらに高い塔が必要になったという。
ビルに電波が阻害されないよう、そして2006年4月に開始された携帯端末向けのデジタル放送サービス「ワンセグ」のエリアの拡大も期待し、600メートル級のタワーが必要になった。
そこで新たに建てられたのが、東京スカイツリーだった。
2018年10月現在、都内で一番高い建物はスカイツリーで634メートル。東京タワーは332.6メートルで2番目の高さだ。
東京都には、248.1メートルのミッドタウン・タワーや、 247メートルの虎ノ門ヒルズ(最高部255.5m)、アンテナを含めると272メートルあるNTTドコモ代々木ビルなど、200メートルを超える高層ビルが20棟以上ある。
東京タワーの一部は戦車だった?
昭和30年代、戦後復興のシンボルとしても期待されていた東京タワーの建設。
当時、タワーの塔体上部については特に頑丈な鉄骨が必要だった。
東京タワーPR事務局によると、当時の関係者は、鋼材としての品質が高い戦車のスクラップを材料として使用した可能性は大いに考えられると語っている。
ちなみに、東京タワーは赤ではなく「オレンジ」の塗料が使われている。当初、ネーミングを市民に募集したところ、「昭和塔」などが主な候補だったが、世界的に親しまれる名前にするために、「東京タワー」に決まったという。
水族館、閉館の理由は意外なところ
日本電波塔によると、水族館の閉館は、テレビ電波送信の終了とは関係ないという。
主要テナントである水族館は、2017年から賃料の未払いが発生しており、貸主の日本電波塔とトラブルになっていた。同社が2018年3月に訴訟を起こし、その後和解。その和解事項の中に、営業の終了が入っていたという。
2018年は開業から40周年の節目ではあったが、営業を終了することになった。
今後、水槽はすべて撤去する。大半の生き物については、移送先が決まっているという。
テナントの場所については、立ち退き後にメンテナンスをし、その後についてはまだ具体的には決まっていないという。
東京タワーの今後は?
水族館も閉館し、電波塔でもなくなった東京タワーは、今後どうなってしまうのか。
日本電波塔によると、テレビ電波塔としての役割は終えたものの、東京タワーがなくなるわけではないという。
東京タワーでは、2018年3月に250メートルの展望台トップデッキの改装が完了。東京タワーの歴史をめぐり、新たな景色を楽しめるトップデッキツアーなども始めた。
担当者は「12月の60周年に向けて、イベントの準備なども始まっている。テレビ電波送信は終了したが、ラジオなど引き続き聞いていただく人のために、万全の対応をしたい。この後の100周年に向けて、がんばっていきます」と話している。
また、地震やゴジラの襲来など、災害や事故でスカイツリーが使えなくなった場合に、NHKや民放のテレビ電波を送るための予備塔としての役割は維持しているという。