新型コロナウイルスの感染拡大によって、プロ野球オープン戦や大相撲春場所は無観客での開催が決まったが、7月22日に開幕する東京オリンピックも無観客試合になるかもしれない。海外メディアの報道が波紋を呼んでいる。
■観客は「競技役員と放送局のみ」とする提案が…
驚くべき報道をしたのは、3月5日付けのアメリカ大手紙「ニューヨーク・タイムズ」のオンライン版だ。「コロナウイルスが感染拡大する中で、オリンピックは時計の針と難しい決断に直面している」というタイトルの記事だった。
この記事によると、世界保健機関(WHO)は2月末、東京オリンピックに参加する複数の国際競技連盟の数十人の医療担当者との非公開の電話会議に参加した。
複数の関係者によると、約2時間の話し合いでは、東京オリンピックの「最悪のシナリオ」について検討。無観客で開催することのメリットとデメリットについて話題になったという。
残り数カ月に迫ったオリンピックを開催するために提案された多くの選択肢の1つが、競技役員と放送局のみを観客にすることだったという。
ニューヨーク・タイムズの取材に対して、WHOの広報担当者は「その電話会議は非公開」として、無観客開催についてのコメントは避けた。しかし、WHOの役割はスポーツイベントを中止・許可することではなく、「合理的で科学に基づいた公衆衛生のガイダンスと推奨事項を提供すること」だと述べたという。
■WHOとIOCのトップも電話でオリンピックについて協議
この電話会議があったとされる日の数日後にあたる3月3日、WHOのテドロス事務局長はジュネーブで記者会見した。
時事ドットコムによると、テドロス事務局長は新型コロナウイルスで開催が懸念されている東京オリンピックについて、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長と電話で協議したと明らかにした。
その上で、開催の可否についての判断は「時期尚早」だとの認識を示していたという。