SNSで話題となった東京都渋谷区の公園に登場した“透明トイレ”が、海外メディアでも報じられている。
このトイレは渋谷区内の「代々木深町小公園」と「はるのおがわコミュニティパーク」にあり、建築家の坂茂氏が手がけたもの。日本財団が実施する、誰もが快適に使用できる公共トイレを設置するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」の一環で作られた。
「日本人は、トイレテクノロジーの最先端」
イギリスのガーディアン紙は、このトイレに触れた記事の中で、「日本人は常に、トイレテクノロジーの最先端にいます。ビデやリモートコントロール、音姫などがあります。音姫とは、不快な音をたてないために、水が流れる音を出すもので、公共の場のトイレを使う人の恥ずかしさを和らげます」と説明している。
一方、“透明トイレ”のコンセプトについては、「新しいものではないです。ロンドンのナイトクラブは同じような仕掛けを試してきました」とした。
しかし、ガーディアン紙が着目したのは、公衆トイレが建設されたこと自体だ。記事では、イギリスで近年、公衆トイレの閉鎖が相次いでいるとした上で、「トイレは贅沢品ではなく必需品です。とにかくトイレを作ってくれ」などと訴え、記事を締め括っている。
現地リポート「鍵をかけ忘れ、笑いが起きた」
アメリカのCNNは「トラベル」のページで、このトイレを紹介している。記事タイトルは「東京の最新名所。透明な公衆トイレ」。記事では、「際どいトイレだと思われるかもしれませんが、実は、人々の公衆トイレに対する認識を変えることを目的とした革新的なプロジェクトの一部なのです」と説明している。
CNNでは、実際に「はるのおがわコミュニティパーク」に取材に行き、「このトイレ設備は印象的な清潔さだった」と報告している。このトイレは鍵をかけると個室の外観が不透明になる仕組みだが、この取材中、「ある人が鍵をかけ忘れたようで、外で笑いが起きていた」という恐ろしいエピソードも報告している。
カナダのグローバルニュースは、「このトイレは特別な“スマート”ガラスでできており、鍵をかけると自動で曇ります。利用者は安心して排便することができます」と説明し、現地を訪れたYouTubeユーザーの動画を紹介している。
建築家「トイレは、入るとき2つの心配なことがあります」
このトイレを手がけた建築家の坂氏は、下記のようにコメントしている。
公共のトイレ、特に公園にあるトイレは、入るとき2つの心配なことがあります。一つは中が綺麗(クリーン)かどうか、もうひとつは中に誰も隠れていないかどうか。新しい技術で作られた鍵を締めると不透明になるガラスで外壁を作ることで、トイレに入る前に中が綺麗かどうか、誰もいないか確認でき、その2つの心配をチェックすることができます。そして夜には、美しい行灯のように公園を照らします。