特定非常災害に指定されると、対象となる人たちは運転免許証の更新猶予など、様々な行政上の優遇措置が得られる。詳しい内容を見ていく。
■特定非常災害とは?
まず、どんな災害が対象になるかだ。内閣府の資料によると、「著しく異常かつ激甚な非常災害」とされている。
具体的には、①死者、行方不明者、負傷者、避難者等の多数発生や②住宅の倒壊等の多数発生、それに③交通やライフラインの広範囲にわたる途絶④地域全体の日常業務や業務環境の破壊を要件とし、これらを総合的に判断する。
内閣府によると、適用されれば阪神・淡路大震災(1995年)、新潟県中越地震(2004年)、東日本大震災(2011年)、熊本地震(2016年)、西日本豪雨(2018年)に続き、6例目となる。
■どんな優遇措置が?
特定非常災害に指定されると、行政上の様々な優遇措置が得られる。詳しい内容が法律で規定されている。
優遇措置はいずれも期限が設定されている。この期限は、災害の発生日を1日目として数える。今回は2019年10月10日が開始日で、仮に期限が1年ならば2020年10月9日までとなる。
①行政上の権利権益に係る満了日の延長
権利権益と言われても、そのままでは分かりにくいかもしれない。内閣府によると、具体的には、運転免許証の有効期間や建設業の許可が延長されることになる。これは災害の発生日から数えて最大6か月間だ。
②履行されなかった義務に係る免責
病院や薬局の休廃止などに伴う行政への届け出など、法律で定められている履行義務について責任を問われなくなる。最大4か月。
③法人の破産手続開始の決定の特例
指定された災害によって債務を返済できなくなった場合、債権者が破産手続きを開始しようとしても認められずに済む。最大2年間。法人が自ら破産開始手続きを申し立てた場合などは適用されない。
④相続の承認又は放棄をすべき期間の特例
被災地に住居があったり、避難を余儀なくされたりした場合、相続するか、または放棄するかについての期間が最大1年間延長される。相続について考えるための時間が与えられる格好だ。
⑤民事調停法による調停の申立ての手数料の特例
災害が原因で民事調停を起こす場合、手数料が免除される。例えば、借家や借地が台風で倒壊し、家主から修繕費を求められた場合などが想定される。災害発生日から3年以内に調停の申し立てをすることが条件だ。
そのほか、応急仮設住宅の存続期間などについても特例措置が規定されているが、内閣府によると今回は適用されない見通しだ。
また、台風19号は「激甚災害」にも指定される。こちらは、自治体の復興事業への国の補助率が引き上げられる措置だ。