TOKIOの山口達也メンバーが女子高生に飲酒を勧め、無理やりキスをするなどして強制わいせつ容疑で書類送検された問題。同じグループの国分太一さんがテレビ番組の中で、山口メンバーがアルコール問題で通院していると話したことが注目されている。
厚労省によると現在、アルコール依存症の患者数は国内で80万人以上、予備軍も含めると約440万人にもなると推定されているからためだ。アルコール問題は決して人ごとではない。もし、苦しんでいるときには、どうしたらいいのか?
アルコール問題の啓発、予防に取り組む「NPO 法人 ASK(アスク=アルコール薬物問題全国市民協会)」のウェブサイトが参考になる。
ASKのウェブサイトによると、アルコール依存症は「意志が弱い」「だらしない」からなるものではない。飲酒がコントロールできないのは病気の症状であり、医学的に「依存症になりやすい性格」はない。
アルコールは本人への身体症状だけでなく、依存症やうつ、自殺など心への影響のほか、家庭崩壊のリスクも指摘されている。
精神科医の松本俊彦さんは著書『アルコールとうつ・自殺』(岩波書店)の中で、自身が関わった自殺の実態調査から男性、とりわけ40〜50代の働き盛りの世代に集中している問題がアルコールだと指摘している。
アルコールはその場限りの高揚をもたらすが、高揚の先には急激な落ち込みが待っているところに特徴がある。
かつて、筆者が取材した複数の専門家は口をそろえて、アルコール問題=アルコール依存症だとは語らなかった。世間一般で、アルコール依存症というと「手が震えるようになっても飲み続ける」といった末期のイメージが強いからだ。
彼らが指摘していたのは、それ以前に診察が必要なタイミングがあるということだった。一言でいえば、「自分で飲酒をコントロールできず、社会生活に支障をきたした時」がその時だ。
仕事があることがわかっていても、酒を飲んでしまって朝に起きられない。飲めないと眠れないからと手をだして、会議に遅れる。酒を飲むことで家族関係が悪化する。
いずれも、受診のタイミングだと彼らは言った。
ASKのウェブサイトに医療機関や相談窓口、アルコール問題の自助グループまでリンクがまとまっている。本人だけでなく、アルコール問題を抱える人の家族や友人を対象にした窓口も用意されているので、ぜひ参考にしてほしい。
アルコール問題の基本は早期の治療だ。困っている人がいたら、個人を「だらしない」「意志が弱い」と責めることをせず、まずは医療機関や相談窓口につないでほしい。