ショートビデオアプリのTikTokは4月9日、新型コロナウイルス(COVID-19)対応の最前線で働く人、教育者、そして新型コロナウイルスの影響を受けている地域のコミュニティのサポートに2億5000万ドル(約270億円)超を拠出し、公衆衛生機関やビジネス再構築を図る事業所向けに1億2500万ドル(約135億円)分の広告クレジットを提供すると発表した。こうした資金の一部はCDC(米疾病予防管理センター)やWHO(世界保健機関)のような主要な衛生機関に向けられる一方、残りは個人や中小企業のサポートにあてられる。
2億5000万ドルの方は、TikTokヘルスヒーロー救済基金、TikTokコミュニティ救済基金、そしてTikTokクリエイティブラーニング基金の3つに活用される。
この中ではヘルスヒーロー救済基金向けが最も大きく、1億5000万ドル(約163億円)が医療従事者や物資の確保、ヘルスケアワーカーの救済に充てられる。このうちの1500万ドル(約16億円)が地方自治体を通じて膨れ上がっている新型コロナ対応スタッフをサポートするためのCDC基金に向けられる。そして1000万ドル(約11億円)がWHOのCOVID-19連帯基金向けだ。
加えて、中国インターネット大企業ByteDance(バイトダンス)が所有するTikTokは、同社の従業員マッチングプログラムで赤十字社やDirect Reliefのような非営利組織を手伝うと述べた。
TikTokはまた、マスクや個人保護備品をインドやインドネシア、イタリア、韓国、米国の病院に届けるためにさまざまなパートナーと協力しているとも話した。例えば、TikTokは今月始めにインドの最前線で働く医師やスタッフを守るために医療用防護スーツ40万着とマスク20万枚を寄贈したと発表した。
一方、TikTokコミュニティ救済基金は新型コロナウイルスの影響を受けている脆弱なコミュニティに照準を当てている。
この取り組みでは、ミュージシャンやアーティスト、看護師、教育者、家族などを含むTikTokユーザーコミュニティの人々を支えている地元の組織に4000万ドル(約43億円)を現金で提供する。すでにAfter-School All-Starsへの300万ドル(約3億円)の寄付に使われた。After-School All-Starsはこれまで学校の給食に頼っていた家族に食料を提供している。そして、暮らしが滅茶苦茶になったアーティストやソングライター、音楽のプロをサポートするMusiCaresに200万ドル(約2億円)が提供された。
TikTokコミュニティ救済基金の一部として、TikTokは1000万ドル(約10億円)の寄付をコミュニティとマッチングする。
3つめのTikTokクリエイティブラーニング基金は、教育者や専門家、遠隔授業に取り組んでいる非営利組織に5000万ドル(約54億円)を提供する。TikTokは自らをクリエイティブリモート学習の場にするようだが、まだ詳細は明らかにされていない。
基金以外の部分では、TikTokは公衆衛生機関や零細企業に広告クレジットを提供する。
NGOや信頼できるヘルス関連団体、地元当局に2500万ドル(約27億円)分の「フィード内」広告スペースを提供し、重要なメッセージを何百万という人々と共有できるようにする。GoogleやFacebook、Twitterを含む他のテック大企業もそれぞれのプラットフォームで同様の取り組みを展開している。
TikTokはまた、WHOやIFRC(国際赤十字赤新月社連盟)などの代表、科学教育者Bill Nye(ビル・ナイ)が公衆衛生や科学について語るライブストリームを流すなど、他の方法でも教育情報を広める取り組みをしていると述べた。それからTikTok内にCOVID-19 Resources Page on TikTok’s Safety Centerという専用セクションも設けた。加えて、#HappyAtHomeといったキャンペーンのクリエイターとも提携した。#HappyAtHomeは金曜日の米国東部標準時間午後8時/太平洋時間午後5時(日本時間土曜日朝10時)にストリーミングしていて、ウィークデーに他のテーマでもストリームする計画だ。
またTikTokは、今後事業を立て直す中小企業向けに1億ドル分(約108億円)の広告クレジットを提供する。事業再開は公衆衛生当局の判断にかかっているため、この取り組みはまだ始まっていない、と同社は説明した。
「皆にとって困難な時だと理解している」とTikTokの会長 Alex Zhu(アレックス・ジュ)氏は声明文に書いている。「この困難な時に立ち向かっている世界中の企業、政府、NGO、そして一般の人々と共に、できる限りの支援を行うことを約束する。共に取り組むことで、危機を耐え、より良いコミュニティをつくり、そして我々が望んでいる世界が以前にも増して共通の目的で団結できるようになる」とジュ氏は述べた。
画像クレジット: ANATOLIY SIZOV / GETTY IMAGES
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(翻訳:Mizoguchi)
2020年4月10日TechCrunch Japan「TikTokが新型コロナ救済基金に270億円拠出、135億円ぶんの広告クレジットも提供」より転載
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