プライド月間の6月には、アメリカの多くのスポーツチームが、LGBTQコミュニティへの連帯を示し多様性を祝福する「プライドナイト」を開催する。
フロリダ州に本拠地を置く大リーグのタンパベイ・レイズも、6月4日にこのイベントを実施。
ところが5人の選手たちが、レインボーのロゴがデザインされた帽子とワッペン付きユニフォームの着用を拒否した。選手たちは「信仰上の理由」と説明している。
信仰を理由に着用せず
レイズは、結婚の平等を支持する意見陳述書を2015年に最高裁に提出するなど、さまざまな形でLGBTQコミュニティへの連帯を示してきた。
16回目となる4日のプライドナイトでは、試合前にLGBTQ当事者を招いたイベントを開催し、観客に小さなレインボーフラッグを配布。他にも、LGBTQコミュニティへの医療健康サービスを提供している団体「メトロ・インクルーシブ・ヘルス」に2万ドルを寄付した。
そしてこの日の試合で、レイズの選手たちがレインボーで彩られたロゴ付きのユニフォームと帽子を着用した。
しかし、タンパベイタイムズによると、ジェイソン・アダム投手、ジャレン・ビークス投手、ブルックス・ラリー投手、ジェフリー・スプリングス投手、ライアン・トンプソン投手の5人が、ユニフォームからレインボーカラーのロゴを剥がし、通常の帽子をかぶった。
その理由を、アダム投手は「信仰に基づく決定」だと説明。次のように述べた。
「とても難しい決断です。我々はここではすべての人が歓迎され、愛されるということを伝えようとしている」
「だけどもし私たちがこれを自分の体につけたら――誰かを見下すとか、自分達とは違うと考えているということではなく――これは自分たちの生き方であり、ただ単にイエスを信じているから勧めたくないということです。イエスはこういった行為を避ける生き方を、私たちに勧めました。異性愛者男性である私に、結婚した相手以外とのセックスを慎むよう勧めたの同じです」
一方、レインボーの帽子とロゴ付きユニフォームを身につけた外野手のケビン・キアマイアー選手は、誰もが居場所があると感じることが大切だと強調している。
「私は両親から、すべての人をその人のままで愛し、自分らしく生きるよう教えられました。何を好むかどうかに関係なく、自分の生き方をするようにと言われました」
「もちろん、私が全員の気持ちを代弁することはできません。しかしここは、家族が楽しめる大リーグの球場です。すべての人がここで歓迎され、居場所があると感じて、私たちを応援してほしい」
LGBTQ当事者の仲間は身近にいる
プライドナイトを紹介したレイズのFacebook投稿には、イベント開催を「分断を生んでいる」「政治的だ」などと批判する声もある一方で、「分断ではなくインクルージョンだ」など支持する意見も多数投稿されている。
レイズファンのマット・ラバージュさんは、アダム投手の発言について「“行為”という言葉を使っていて、まるで選択していると言っているようです。誰かを疎外するようで、同意できません」とNPRの取材で語っている。
ラバージュさんはレイズのFacebook投稿にも「すべての人を認め受け入れようとするレイズを誇りに思う。こういった価値観を伝えるために、私は息子をプライドナイトに2回連れて行きました」と書き込んでいる。
元メジャーリーガーのプレストン・ウィルソン氏も「スポーツ界は特にLGBTQについて無知だ」と批判。選手たちは身近にLGBTQ当事者の仲間がいることをただ知らないだけだと指摘している。
プレストン・ウィルソン氏のツイート:スポーツ界は、このテーマについて特に無知だ。MLBのすべての選手は、同性愛者のチームメートとどこかで一緒にプレーしているはずだ。彼らの成功を応援し、苦しんでいる時にはともに痛みを感じたはずだ。彼らはただ、その選手がLGBTQ当事者だということを知らなかっただけだ。
NBCによると、レイズと同じようにプライドナイトでレインボーユニフォームを取り入れたサンフランシスコ・ジャイアンツとロサンゼルス・ドジャースでは、全選手が着用した。