女性は顔出しも歌声も禁止。アフガニスタンのタリバン政権が女性の権利をさらに規制

国連は「女性と女の子の権利に対する耐え難い制限を拡大する」と警鐘を鳴らしている
ブルカを着用してアフガニスタン・カンダハールの市場を歩く女性たち(2024年8月24日)
ブルカを着用してアフガニスタン・カンダハールの市場を歩く女性たち(2024年8月24日)
WAKIL KOHSAR via Getty Images

アフガニスタンの実権を掌握している武装勢力タリバンは8月21日、公共の場で女性が顔を出したり、歌ったりすることを禁止する法律を発表した。

AP通信によると、規制は35条から成る「悪徳の防止と美徳の促進法」の一環で、このうち第13条では、女性は公共の場でベールを着用し、他人を誘惑したりされたりすることを避けるために顔を覆うことが義務づけられている。

着用する衣服は、薄い生地やタイトなデザインであってはならず、堕落を避けるために、性別に限らずイスラム教徒以外の前では身を隠す義務があると定められている。

また、血縁や婚姻関係のない男性を見ることや見られることも禁じられている。

さらに、女性の声は「親密」なものとみなされ、人前で歌ったり、朗読したり、大声で読み上げたりすることが禁じられている。

法律には、メディアの制限や、女性の一人での移動に送迎手段の提供を禁じる内容も含まれており、タリバンが設置した「勧善懲悪省」の役人が、法律に違反したと判断すれば、警告や逮捕などの罰を与えられるという。

勧善懲悪省の報道官は22日、「このイスラム法は美徳の推進と悪徳の撲滅に大いに役立つだろう」とコメントしている。

アフガニスタンのカブールでミシンを使って働く女性たち。アフガニスタンでは経済状態が悪化しているが、女性が就ける仕事はほとんどない(2024年7月2日)
アフガニスタンのカブールでミシンを使って働く女性たち。アフガニスタンでは経済状態が悪化しているが、女性が就ける仕事はほとんどない(2024年7月2日)
via Associated Press

一方、国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)は25日、新法はアフガニスタンの人々を厳しく規制するものであり、恣意的で厳しい強制力を持つ可能性があると懸念を表明した。

UNAMAトップのローザ・オトゥンバエワ氏は、「法律は、アフガニスタンの女性と女の子の権利に対する、すでに耐え難い制限を拡大するものです。家の外での女性の声でさえ道徳的に違反とみなされるのです」とコメントした。

タリバンは2021年にアフガニスタンを掌握した後、女性や少女の権利を制限してきた。女子は中学校以上の教育が受けられなくなっており、美容サロンを閉鎖するなどして働く場を奪い、女性を公共の場から排除する動きも強まっている。

オトゥンバエワ氏は「アフガニスタンの人々は数十年にわたる戦争を経験し、悲惨な人道危機の真っただ中にあります。礼拝に遅れたり、家族以外の異性を見たり、愛する人の写真を持っているだけで脅迫されたり、勾留されたりすべきではない」と述べている。

「世界は、アフガニスタンが平和と繁栄の道を歩むことを望んでいます。そのためには、すべてのアフガニスタン人が将来に関与し、規則に支配されるだけではなく権利を持つ市民である必要があります。アフガニスタンの人々の権利をこれ以上制限し、彼らを常に恐怖に陥れることは、この目標の達成をさらに困難にします」

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