「カルロス・ゴーン氏の釈放に際して行われた『変装劇』はすべて私が計画して実行したものです」
■「名声に泥を塗る結果」ゴーン氏に謝罪
ゴーン被告は、保釈後も「指定された都内の住居に住み、出入り口に監視カメラ」や「メール・インターネットの禁止」などの厳しい条件が課されている。
高野弁護士のブログによると、弁護団にとっては、保釈されたあと速やかにゴーン被告を制限住居へ送り届け、家族と社会生活を再建してもらうことが課題だったという。
しかし素顔のまま拘置所を出れば、報道陣がゴーン被告を制限住居まで追いかけることは予想できた。「彼の小さな住居は全世界に知れ渡ります。生活を取り戻すどころか、健康すら損なわれてしまう」と高野弁護士は考えた。
そこで選んだのが変装して報道陣の目を眩ませることだった。なぜ作業員の風貌を選んだのかについては触れていない。
変装はすぐに見破られたが、結果的にゴーン被告は制限住居へ無事にたどり着き、家族との再会を果たすことが出来た。
しかし、この変装に焦点を当てた報道が相次いだこともあってか、高野弁護士は「私の未熟な計画のために彼が生涯をかけて築き上げてきた名声に泥を塗る結果となってしまいました」とゴーン被告への謝罪の言葉を綴っている。
また、変装に協力してくれた人たちに対しても「友人たちに大きな迷惑をかけてしまいました」としている。
■過熱報道に警鐘
ゴーン被告は、拘置所を出た後も、報道ヘリに上空から追跡され、最初に入った都内の弁護士事務所の前も記者やカメラマンでごった返した。
高野弁護士はブログの最後で、こうした報道陣の過熱ぶりにも言及。「どんな著名人にも身近な人と心安らぐ場所が必要です。心おきなく疲れをいやす場所が必要です。どのような庶民にも生活の糧を得るために安全に働く権利があります。この当たり前のことをご理解ください」と呼びかけた。