9月21日に「同性婚も改憲議論の対象に」の趣旨を述べた自民党の下村博文選対委員長。
「同性婚も改憲議論の対象になる」とする与党側に、同性愛者であることを公表している石川大我議員が9月27日、記者会見で反論した。
共同通信によると下村議員は富山市の講演で、国会で議論する憲法改正の項目の一つに同性婚をあげた。議論が進まない憲法審査会に、野党の参加を促すのが狙いとみられる。
石川議員は、憲法改正の議論は自民党が改憲草案に挙げる憲法9条の改正や緊急事態条項の導入などを含めた「パッケージ」として考えなければならないと指摘。立憲民主党など野党が6月に提出した同性婚を実現する法案「婚姻平等法案」が速やかに審議されるよう求めた。
これまでに自民党議員による「LGBTは生産性がない」「同性愛は趣味みたいなもの」などの差別的な発言があったこともあげ、そうした中での同性婚に関する改憲議論は「大きな違和感もあり、悪意すら感じる」とした。
石川議員は6月に参院議員選挙の全国比例区で初当選。レズビアンであることを公表している尾辻かな子衆院議員に続き、LGBTQを公表している二人目の国会議員になった。
現行の憲法で同性婚はできるのか?
憲法24条には「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」と書かれている。
首都大学東京教授で憲法学者の木村草太氏は、憲法24条は、異性間での「婚姻」をする場合には、男女両当事者の合意があれば足り、父母の同意などは必要ないとした規定で、同性カップルに法律婚の効果を認めることは禁じていないという。
野党らが提出した婚姻平等法案は民法の一部改正で同性婚の実現を目指す一方で、下村氏は21日の講演で、憲法の「両性の合意」を「両者の合意」に書き換える案を議論する項目の例としてあげた。
2019年2月に同性カップルの結婚を認めないのは憲法違反として全国13組の同性カップルが国を相手どり一斉提訴した。国側は「憲法は、当事者が同性である場合の婚姻を想定していない」と主張している。