男子プロバスケットボール「B.LEAGUE(Bリーグ)」のオールスターゲームが2018年1月に熊本県で開かれる。会場は2016年の熊本地震直後に避難所として使われた熊本県立総合体育館。「がんばるばい熊本 がんばるばい日本」を合言葉に、復興支援活動にも取り組む。クラウドファンディングを活用して、オールスター出場選手がファンと一緒に被災地を訪問したり、被災地の子どもたちが元気いっぱい遊べるよう、遊具を贈ったりすることを計画している。
スポーツを通じた社会貢献活動は、日本でも近年注目されるようになってきており、10月末には日本財団がこうした動きをサポートする「HEROs SPORTSMANSHIP for THE FUTURE」を立ち上げた。バスケットボール界からアンバサダーとして参加している田臥勇太選手(栃木ブレックス)に、NBA時代の経験も踏まえながら、B.LEAGUEの取り組みについて語ってもらった。
――B.LEAGUEはこれまでにも、災害被災地を支援する活動に取り組んできています。どんな意義を感じていますか?
「東日本大震災の後、被災地の子どもたちと一緒にバスケットをやる機会があったんです。大変なことを経験したんだけど、みんな本当に元気で、バスケットを通じて『これから頑張ろう』と前向きな姿を見られて嬉しかったし、僕自身が元気をもらえました。社会貢献というと堅苦しく感じますが、プロバスケ選手の社会的責任として、熊本や九州北部の方に一人でも元気になってもらえたら、という思いは凄くあります」
――今回の活動で支援する熊本や福岡にはどんな印象をもっていますか?
「バスケットの試合や教室へ行くと、各県、各地域のカラーがあるというか、子どもたちにもカラーがあるので、楽しみです。熊本の子たちもアグレッシブで、『こんなに地域でバスケットが盛り上がっているんだ』とすごく思いました。今回の活動が、(地震や豪雨の被害で)大変な思いをしている方の一人でも多くに、バスケットを知ってもらうきっかけになればいいと思っています。オールスターも選ばれたら、ふだんの試合より華やかで楽しいゲームにしなきゃなあ、という思いはあります。試合以外のところでもいろんな触れあう機会があると思いますし、自分たちも一緒に楽しみたい。バスケットを通じて、お互いが元気になって楽しい時間を過ごせて、次につながる機会になればいいな、と思っています」
――アメリカではスポーツ選手たちが社会貢献に積極的だと言われます。日本の活動と違いを感じることはありますか?
「僕が子どもでNBA選手に会えたら、そんなに嬉しいことはないと思う。アメリカにいたときも、子どもたちが本当に目をきらきらさせていた覚えがありますね。NBAの選手たちは、子どもたちや社会、地域のために自ら率先してやっていて、義務ではなくて、お互いを成長させる素晴らしい機会なんだという印象を受けました。僕自身、アメリカで非常に勉強になりましたし、バスケットを通じて自分ができることを、これからも率先してやっていきたい。日本でもアスリートが行動を起こしていくのが当然のようになってほしいと思っています」
――選手とファンが一緒に活動するという今回のような取り組みも、米国ではよくあるんでしょうか?
「僕がいたとき(2004年)にはイベントを一緒にやるぐらいで、そういう経験はなかったですね。日本のバスケットでもなかったですよね、たぶん。逆に僕にとっても初めての経験で、B.LEAGUEのオールスターゲームでこういうことができるというのは、非常に良い機会だと思っています。いろんなことにチャレンジしたり、ファンのみなさんや地域の方、熊本で大変な生活を送っている方と力を合わせたりして、一歩一歩進んで行く良いきっかけになればいいな、と思っています」
(※米NBAでは2005年から「NBA Cares」という社会貢献プログラムを開始している)
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オールスターゲームは2018年1月14日開催。出場選手を決めるファン投票は2017年11月21日に締め切られ、同23日に結果が発表される。田臥選手は11月7日に発表されたファン投票の中間発表では、B.BLACKのPG/SG枠で1位だった。
クラウドファンディングでは、試合のチケットのほか、出場選手と一緒に被災地でボランディア活動ができる権利などを入手できる。詳細は、https://a-port.asahi.com/projects/b-hope/ 。