自宅にインターネット環境がなく、ファストフードチェーン「タコベル」のWiFiを使って宿題をしていた子どもたちの家族に、多くの支援金が寄せられた。
タコベルで宿題をしていたのは、アメリカ・カリフォルニア州中部のサリナスに住む、2人の子どもたちだ。
店の外に座り、宿題をしている姿を捉えた写真が8月の終わりにSNSに投稿され、大きな反響を呼んだ。
Instagramの投稿「母が今日、この写真を送ってくれました。この2人の女の子は、学校の宿題をするためにWiFiのある場所を探していて、無料WiFiがあるタコベルにやって来たそうです」
新型コロナウイルスの影響でオンライン授業が増えている今は特に、インターネットへのアクセスは子どもたちの学びの機会を大きく左右する。
カリフォルニア州議会上院仮議長のケヴィン・デリオン氏は写真をTwitterでシェアし、「これがカリフォルニアのある実情です…。シリコンバレーがあるのに、デジタル格差はこれ以上ないくらい広がっています」「40%のラテン系アメリカ人は、インターネットへのアクセスがありません。この世代のために、もっと良い環境が整えられるべきです」と訴えた。
サリナスがあるモントレー郡のルイス・アレホ郡監督委員も、「カリフォルニアの全ての生徒たちのために、この状況を改善しデジタル格差を完全になくさなければいけません」とツイートした。
サリナスのメディア・カリフォルニアンによると、写真が拡散された後すぐに、サリナス小学校区の担当者が子どもたちを見つけ出してWiFi環境を提供した。
学区は、同じようにインターネットへのアクセスを必要としている家庭にも、学校に連絡するよう伝えたという。
家族を支援するための、クラウドファンディングが立ち上がる
写真が拡散した後、家族を支援するためのクラウドファンディングも立ち上げられた。
呼びかけたのは、サリナス在住のジャッキー・ロペスさんだ。
タコベルの外で宿題をする子ども達の写真を見て胸が痛んだロペスさんは、近所の人たちからの情報をもとに家族を探した、とクラウドファンディングのページで説明する。
探し当てた子どもたちの母親はシングルマザーで、小さな部屋で3人の子どもたちと暮らしていた。子どもたちを育てるために、1日も休まず働かなければいけない状況だったという。
さらに家族は、住んでいる部屋の家賃が払えず立ち退きを迫られていた。「私は女の子たちが、インターネットや洋服、学用品だけではなく家も必要としていることを知りました」とロペスさんは綴る。
新しい家や引っ越し費用を探すために、2万ドル(約211万円)を目標にして立ち上げられたクラウドファンディングには、現時点で11万7000ドル(約1240万円)以上が集まっている。
ロペスさんは寄付してくれた人への感謝を伝えるとともに、子どもたち全てに、安心して学べる環境を整える必要があると訴えている。
「全ての子どもたちに、安心して暮らせる場所が整えられるべきです。一生懸命宿題をしていたこの小さな女の子たちは、安全に学べる場所を受けるに値します」