オーストラリアの競泳選手マデリン・グローブス氏が6月9日、「スポーツ界にミソジニー(女性蔑視)な変質者がいるために、東京オリンピックの選考大会に出場しない」と発表した。
グローブス選手は、前回のリオデジャネイロオリンピックでは、2つの銀メダルを獲得している。
東京オリンピックの選考大会では、100mバタフライと50m自由形に出場する予定だったが、Instagramで「アデレードで開かれるオリンピックの選考大会には出場しないと決めました」と述べた。
さらに「この決定を支持してくれることに感謝しています。そしてとてもホッとしています」とつづっている。
この投稿の後、グローブス選手はTwitterで不出場の理由を次のように説明した。
「これを、スポーツ界にいる全てのミソジニーの変質者と、彼らにこびへつらう人たちへの教訓としましょう。彼らはもう、若い女性や少女たちを搾取したり、体を辱めたり、医療者の立場を利用してガスライティング(心理的嫌がらせ・虐待)したりして、彼女たちを利用し、お金を稼ぐことはできない。もうそんな時代は終わった」
これまでも性的嫌がらせを訴えてきた
グローブス選手は2020年にも、性的なコメントなどで非常に不快な経験をしたことがあるとTwitterで明かしている。
有名なコーチ(私のコーチではありません)から、大学について尋ねられたことがあります。学んでいる科目の一つが「愛とリレーションシップ、そしてセックス」だと答えると、彼は気持ち悪い声で「その全部がどんなものか、君にはそのうちわかるだろう」と言いました。
彼は15分後にやってきて謝罪しました。おそらくチームの心理士に謝罪するように言われたんだと思います。私は20歳でした。近づかないで欲しいし、オーストラリアチームの一員として競技している私に気持ち悪いコメントをしないで欲しい。
また、別のツイートでは水着姿をジロジロ眺められたとも述べている。
数年前に、水泳の世界で働いていたある人から水着をジロジロ眺められて、嫌な気持ちにさせられました。そのことで苦情を申し立てましたが、その人は昇格したようです。
その時はまだ水泳の世界にMeToo運動が起きてなかった。だけど(昇格した)その人が、泳ごうとしていた私の胸をジロジロ見ていた変態だったんじゃないかと思います
ごめんなさい、こんなことを言うべきではないのかもしれない。彼は成長し、その結果昇格したのだと信じたい。願わくば水着の若い女性をジロジロ見るべきではということを学んでいて欲しい。
この一連の投稿の後、オーストラリア水泳連盟は2020年12月に、グローブス選手と話をしてツイートの内容について確認したと声明で発表した。
声明によると、グローブス選手はTwitterに書いたこと以上のことを明かさず、また同選手が以前に苦情を申し立てた記録は残っていないという。
オーストラリア水泳連盟は「我々はいかなる児童虐待や性的不正行為も許容しません。私たちは子どもや若者の福祉や安全、心身の健康を最優先にしています。そして我々のスポーツの水準を維持するために、選手に話を聞くようにします」と述べている。
グローブス選手が不参加を表明した東京オリンピックの選考大会は、6月11日にアデレードでスタートする。
グローブス選手は「大会を見て、誰が東京オリンピック代表になるかを楽しみにしている」「みんな頑張って欲しい」とつづっている。
また競泳を辞めるわけではなく、年内に開かれる別の大会には出場するとも述べている。
【訂正 2021/06/11 16:20】
記事中のツイート訳に間違いがありました。当初「有名なコーチ(私のコーチではありません)から、ユニフォームについて尋ねられたことがあります。『愛とリレーションシップ、そしてセックス』がテーマの一つだと答えると」としていましたが、「有名なコーチ(私のコーチではありません)から、大学について尋ねられたことがあります。学んでいる科目の一つが『愛とリレーションシップ、そしてセックス』だと答えると」と訂正しました