スターバックスは使い捨てコーヒーカップの問題を解決するため、新たに生分解性プラスチックをコーティングした紙製容器の試験利用を進めている。一方で、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、スターバックスをはじめ世界のコーヒーチェーン店では再利用できるカップの使用を停止する動きが生まれるなど、使い捨て容器対策は一進一退だ。そんな中、英飲料メーカー「ルコゼード ライビーナ サントリー(LRS)」は海藻でできた食べられるカプセル型容器を使ったスポーツドリンクをジムの自動販売機で試験的に販売する。(翻訳=梅原洋陽)
スターバックス、使い捨てコーヒーカップの実証実験は一進一退
使い捨てコーヒーカップの廃棄問題の解決策を探る取り組みの一環として、スターバックスはリサイクルでき、たい肥化もできる、新たなホット・ドリンク用カップをバンクーバー、シアトル、サンフランシスコ、ニューヨーク、ロンドンの数店舗で検証する。
新たなカップは生分解性プラスチックBioPBS™でコーティングされた紙製容器で、リサイクルや家庭でコンポストできる技術で作られている。この技術は、スターバックスとマクドナルドが設立したコンソーシアム「ネクストジェネレーション・カップ・チャレンジ(NextGen Cup Challenge)」で表彰された12の技術のうちの一つだ。
スターバックスは今後も、クローズド・ループ・パートナーズ、ネクスト・ジェネレーション・コンソーシアム、そしてその他の機関や企業と連携し、BioPBS™ のカップなど、その他の表彰されたリサイクル技術の可能性を検証していくという。そして、鍵を握るリサイクル業界のステークホルダーと共にカップのリサイクルを促進させ、最終的には自治体でも受け入れられていくことを目指す。
こうして一歩進んでは、二歩下がるような状況の中で、スターバックスは先週、コロナウイルスの影響を考慮し、再利用できるカップで飲み物を提供することを中止すると発表した。当面は、客が持ち込むタンブラーや店内用のマグカップにコーヒーを注ぐことはやめるようだ。しかし、タンブラーを持ってきたり、見た目は紙製の容器にそっくりだが繰り返し使えるプラスチック製リユーザブルカップで飲み物を注文した人は引き続き10セントの割引きを受けられるようだ。
スターバックスに続き、米ダンキンドーナツ、カナダのドーナツチェーン「ティムホートンズ」やコーヒーチェーン「セカンドカップ」も再利用カップの中止を決めた。セカンドカップについては、店側が提供する陶器のマグカップは継続して使用するようだ。マクドナルドも、オーストラリアやニュージーランドでは同じ方針を決めた。新型コロナウイルスがいつ終息するのか、そして、どれほどの紙などの資源が消費されてしまうのかは見通しがつかない。
ロンドンマラソンでも配布 食べられる包装材Oohoを使ったスポーツドリンク
ルコゼード・スポーツ、オランジーナなどを販売する飲料メーカー「ルコゼード ライビーナ サントリー(LRS)」はこのほど、ロンドン南西部にあるジム「デイビッド・ロイド・ハンプトン」でユニークな包装を施した飲料水を自動販売機で試験販売する。同社はサントリー食品インターナショナルの子会社だ。
LRSは最近、オウホウ(Ooho)を製造している英ノップラ(Notpla)とパートナーシップを結んだ。Oohoは海藻と植物抽出物でできた食べられる容器。生物分解で、プラスチック製容器の問題の解決策でもある。
LRSとNotplaは、英国の政府外公共機関イノベイトUK(Innovate UK)から支援を受け、30ミリリットルのルコゼード・スポーツOohoを販売できる特殊な自動販売機を開発した。この自動販売機では1日3000個のOohoを販売できる。この自動販売機の実証実験の開始と同じタイミングで、LRSはロンドン・マラソン・エキスポを含む年内の9つのイベントでオウホウを導入すると発表した。
小さな包装ほど環境に良いことは知られているが、Oohoは大量の水分補給が必要な人には不十分かもしれない。現時点で開発できているOohoの容量は100ミリリットルしかないからだ。飲料の包装材の解決策として、どれだけ多くの液体を入れられるようになるか楽しみだ。
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