アジアの玄関口とも言われる香港は、世界各地の多様なアートやカルチャーが集う中心地としての顔も持ち合わせている。
特に3月は「香港スーパー・マーチ(Hong Kong Super March)」と称し、様々なイベントが開催。その一環として盛り上がりを見せる「芸術文化月間」では、アートやカルチャーに関するイベントが街の至る所で催されている。
2025年の「香港スーパー・マーチ」から、芸術文化月間の様子を一部紹介する。
古今東西のアートが香港に集結!日本からの注目演目も

本月間の目玉の1つが、3月28日(金)〜30日(日)まで香港コンベンション&エキシビションセンター(HKCEC)で開催される「アート・バーゼル香港」。全世界4箇所で開催されるアート・バーゼルの1つ。その中で唯一アジアで開催される本イベントには、42の国と地域から240のギャラリーが集結している。
さらに今年は、アートイベント「アート・セントラル」(3月26日(水)~30日(日))が10周年を迎える。本イベントには著名なギャラリーやアーティストの作品が登場。新進気鋭の若手などによるボーダーレスな作品の数々を楽しむことができる。また、同じく10周年を迎える「HKwallsストリートアートフェスティバル」(3月22日(土)~30日(日))では、壁画制作や展示、デジタルアートに加え、ワークショップも展開。街中をストリートアートが彩るという。
アートの聖地・ニューヨークを拠点とするメディア「Complex」が、米国外で唯一開催するポップカルチャーイベント「ComplexCon」(3月21日(金)~23日(日))も予定されている。本イベントでは、韓国の人気グループNJZ(旧NewJeans)をはじめとする豪華アーティストがヘッドライナーとして登場。最新のトレンドやカルチャーを反映し、業界をリードするブランドやアーティストがコラボするレアイベントとして注目を浴びている。

一方、長い歴史を持つイベントとしては、今回で53回目を迎える「香港アートフェスティバル(香港藝術節)」が特に注目されている。
本イベントでは、オペラやダンス、演劇、中国伝統芸能など、125以上の公演が行われ、関連イベントや教育プログラムを含めると300以上のプログラムが用意されているという。今年の注目演目には、ビゼーの『カルメン』、チェコ国立バレエ団による『ラ・シルフィード』、そしてバレエダンサーのルドルフ・ヌレエフを称える『ヌレエフ・ガラ』などがラインナップされている。また日本からは、坂本龍一+高谷史郎(ダムタイプ)による『TIME』が注目を集めている。
中国の歴史、ピカソの名作、セザンヌとルノワールまで

「香港スーパー・マーチ」では期間中、街に点在する文化芸術拠点でも特別企画展が続々と開催される。
2023年に「世界で最も多く訪問された美術館トップ20」にランクインしているアジア最大級のヴィジュアル・カルチャー美術館M+では、3月15日(土)から7月13日(日)まで「香港ジョッキークラブシリーズ:ピカソ─アジアとの対話」展を開催。本展では、パリ国立ピカソ美術館が所蔵する60点以上のピカソ作品に加え、M+コレクションのアジア出身およびアジア系アーティストの作品も展示される。
また、台湾出身のアーティストの個展「リー・ミンウェイ:砂のゲルニカ」展(3月8日(土)〜7月13日(日))では、ピカソの『ゲルニカ』を砂で再現。そのほか特別パフォーマンスも実施予定だ。香港故宮文化博物館の「流動する饗宴 — 中国の飲食文化」展(3月19日(水)〜6月18日(水))では、中国の5000年にわたる食文化を体験できる貴重な機会が提供される。
さらに、香港藝術館(HKMoA)では、アジア初の巡回展「セザンヌとルノワールの世界 — オランジュリー美術館・オルセー美術館の名作展」(1月17日(金)~5月7日(水))が開催中。香港向けにアレンジされた貴重な展示が充実しており、香港に足を運んだ際には一度訪れたい展示となっている。