菅義偉(すが・よしひで)官房長官が9月2日、国会内で記者会見を開き、自民党の総裁選に立候補することを明らかにした。岸田文雄政調会長と石破茂元幹事長も1日に立候補を表明済みで、総裁選の構図が固まった。総裁選は9月14日の投開票が予定されている。
■「この国難にあって、政治の空白は許されません」と出馬表明
2日の記者会見で菅氏は新型コロナ対策の「陣頭指揮をとられていた安倍総理が道半ばで退かれることになりました。総理の無念な思いを推察いたしております」と安倍首相の辞任表明を振り返った。
「この国難にあって、政治の空白は許されません。一刻の猶予もありません」とした上で「この危機を乗り越え、全ての国民の皆さんが安心できる生活を一日も早く取り戻すために、一人の政治家として、安倍政権を支えたものとして、今なすべきことは何か熟慮をして参りました。そして私は自由民主党総裁選挙に立候補する決意をいたしました」と続けた。
菅氏はこの会見で、「安倍総裁が全身全霊を傾けて進めてこられた取り組みをしっかり継承し、さらに前に進めるために私が持てる力を全て尽くす覚悟であります」として、安倍政権の政策を継承する考えを明らかにした。
■主要派閥の支援があるから立候補したわけではないという立場を強調
今回の自民党総裁選をめぐっては、岸田派と石破派を除く主要派閥の多くが菅氏を支援する情勢になっていると毎日新聞などが報じている。しかし、菅氏は記者団との質疑応答の中で「私は派閥の連合に押されて今、ここにいるわけではありません」と主要派閥の支援があるから立候補したわけではないという立場を強調した。
該当部分の質疑は以下の通り。
ーーー長官は兼ねてより派閥政治に批判的な立場を取られていたと思うんですけど、今回、自民党の大きな派閥がこぞって長官の支援を表明しています。派閥単位で応援されて選挙を戦うことをどう思いますか。そういう形で総理になっても各派閥の意向に振り回されて、菅政権が独自色を出せるのでしょうか?
まず菅色を出せるかということについては、私はコロナ対策を全力を尽くしてやりあげる。それと同時に自らの考えを示しながら実現したいと思いますし、それは必ずできると思います。そして、私自身は派閥に現在、所属をしておりません。自民党の派閥はいいところもあれば、悪いところもあると思います。しかし、私は派閥の連合に押されて今、ここにいるわけではありません。私自身、自らの判断によって出馬を決意し、私を支えてくれる当選4回以下の国会議員の人達、皆さん誰一人、派閥に所属していない。そういう人達のエネルギーが私を押し上げてくれると思います。