「菅義偉首相が国民皆保険の見直しに言及」とSNSで話題に ⇒ 実際には何と言った?

緊急事態宣言の対象区域を11都府県に拡大するのに伴う記者会見。ビデオニュース・ドットコムの神保哲生さんが「人口あたりの病床数が世界一でも医療逼迫。医療法改正しないのか?」 と質問しました。
1月13日、官邸で記者会見する菅義偉首相
1月13日、官邸で記者会見する菅義偉首相
Pool via Getty Images

菅義偉首相が1月13日の会見で「国民皆保険の見直しに言及した」とSNS上で話題が沸騰している。実際にはどんな発言をしたのか検証した。

■国民皆保険をめぐる発言は会見の最後にあった。

菅義偉首相は会見で、大阪、京都、兵庫、愛知、岐阜、栃木、福岡の7府県を「緊急事態宣言」の対象区域に追加すると発表した。7日に決定済みの4都県と合わせて、対象区域は11都府県となる。期間は2月7日まで。また、緊急事態宣言が発令されている間、11の国と地域の間ではビジネス関係者の往来を停止することも明らかにした。

記者会見の最後、ビデオニュース・ドットコムの神保哲生さんが質問した。「日本は人口あたりの病床数は世界一多い国で、感染者数はアメリカの100分の1くらい(編註:1月13日現在は75分の1程度)なのに、医療が逼迫している」として、医療法を改正して病床を確保しないのかという質問だった。

これに対して菅首相は「もう一度検証していく必要はある。それによって必要であれば、改正するのは当然」と答えた。神保さんは重ねて、現時点で改正を考えているのかについても質問したが、菅首相は明言を避けた。

こうしたやり取りの中で菅首相は「医療法についても今のままでいいのかどうか。国民皆保険、そして多くの皆さんが診察を受けられる今の仕組みを続けて行く中で、今回のコロナがあって、そうしたことも含めて、もう一度検証していく必要はあると思っています」という言い方をしていた。この部分が「国民皆保険の見直し」とSNS上で受け取られたようだ。

神保さんと首相の詳しいやり取りは以下の通り。 

■神保氏の質問と菅首相の返答の内容は?

神保氏:日本は人口あたりの病床数は世界一多い国ですよね。感染者数はアメリカの100分の1くらい(編註:実際には75分の1程度)。それが医療が逼迫して、緊急事態を迎えているという状況の総理の説明が、単に医療の体制が違う…ということで、果たしていいのでしょうか。体制を作っているのは政治じゃないですか。政治が法制度を変えれば、変えられるじゃないでしょうか。そこで質問です。もうすぐ国会が始まりますが、たとえば医療法によって病床の転換を病院にお願いするしかない状況ですが、医療法の改正は政府のアジェンダに入ってないのでしょうか。同じく感染症法の改正。これも、コロナが当初どういう病気か分かんない状態で(結核やSARSと同じく)2類感染症相当になっている。非常に軽症者でも厳重に扱わなくてはいけない。その2つの法律を改正されるおつもりがあるのかお伺いします。

菅首相:コロナ感染者の医療について、政府として対応している医療機関に対してしっかり支援をさせていただいたりですね。あるいは保健所への人員の派遣。そうした態勢をつくったり、クラスターが発生すると政府のチームがそこに行って対応するなど、そうしたことを政府は行ってきました。医療機関でありますけど、日本には今の法律がある中で、逼迫状況にならないように、ベッドは数多くありますから、それぞれの民間病院に一定程度出してほしいとか働き掛けをずっと行ってきたのも事実であります。感染症法については先ほど申し上げましたように、(必要であれば)法律改正を行うわけですから、医療法についても今のままでいいのかどうか。国民皆保険、そして多くの皆さんが診察を受けられる今の仕組みを続けて行く中で、今回のコロナがあって、そうしたことも含めて、もう一度検証していく必要はあると思っています。それによって必要であれば、改正するのは当然のことだと思います。

神保氏:現時点では、お考えになってないんでしょうか?

菅首相:今申し上げましたように、それは検証する必要があると思っています。そして、その上のことだと思います。

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