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アメリカ連邦最高裁判所で、大学入学選考時の「アファーマティブ・アクション」が違憲と判断されたわずか数日後、ハーバード大学に対して白人や富裕層に対する優遇制度の撤廃を求める訴訟が提起された。
白人や富裕層に有利とされる「レガシー・アドミッション」の撤廃を求めたのは、黒人やラテンアメリカ系の3つの市民グループだ。
レガシー・アドミッションとは、その大学の卒業生の子どもや親族を優先して合格させる制度で、ハーバードの他にもイェールやコーネル、南カリフォルニアなど名門校と呼ばれる大学でも採用されている。
しかし市民団体は7月3日、この入学制度が人種による差別を禁じた公民権法に違反するとして、ボストンを拠点とするNPO「公民権のための弁護団(LCR)」代理人にしてハーバード大学を提訴した。
一方、この提訴の4日前の6月29日には、保守派の判事が多数派を占める最高裁で、マイノリティーの出願者を大学入学選考で優遇するアファーマティブ・アクションを違憲とする判断が言い渡された。
アファーマティブ・アクションは、教育や雇用など様々な場面でマイノリティーに対する差別を是正するため、1960年代に導入された制度だ。
大学入学選考では、黒人やラテンアメリカ系の人々を優遇することで、高等教育を受けやすくし、格差是正を図ってきた。
しかし最高裁は、入学希望者を人種で判断することは憲法で認められていないとして、アファーマティブ・アクションを違憲と判断した。
この判断に対し、最高裁周辺やハーバード大学などで、抗議活動が行われた。
最高裁がアファーマティブ・アクションを違憲とした一方で、LCRは、レガシー・アドミッションが「黒人や、ラテンアメリカ系、アジア系の人たちに対する差別的な制度だ」と主張。
訴状で「ハーバード大学は入学選考で、本人の実績ではなく、親族が誰であるかだけによって、多くの白人の生徒に特別な優先権を与えている」と述べ、連邦教育省に対し、制度を調査し撤廃させるよう求めている。
LCRが引用したアメリカ経済研究所の調査によると、ハーバード大学では、寄付者やレガシー・アドミッションに関連した出願者の約7割が白人だ。また、寄付者は約7倍、レガシー・アドミッションは約6倍、合格の割合が高かったという。
LCRはこの選考方法について「排他的、差別的であり、白人以外の応募者に深刻な不利益と損害を与えている」と述べている。
レガシー・アドミッションに対しては、社会的な批判も多く、2022年のピューリサーチセンターの調査では、75%の人が入学選考で同制度が採用されるべきではないと回答した。
すでにコロラド州の公立大学やカリフォルニア大学、ジョンズ・ホプキンズ大学などが撤廃している。
LCRのエグゼクティブディレクターであるイヴァン・エスピノザ=マドリガル氏は「大学の出願選考プロセスで、親が誰であるかが考慮されるべきではない」と強調している。
「なぜ前の世代が生んだ特権や利益で、子どもたちを報いるのでしょうか?家族の名前や銀行口座の残高が、価値を測ったり、大学の入学選考プロセスに影響を与えたりすべきではありません」