元タレントの中居正広さんの問題をめぐり、フジテレビと親会社のフジ・メディア・ホールディングスが設置した第三者委員会(委員長・竹内朗弁護士)は3月31日、調査報告書を発表。中居さんについて「性暴力による被害があり、重大な人権侵害があった」とした。中居さん・元社員の女性の両者から守秘義務のある部分の聞き取りはできなかったが、前後の状況から認定した。
「性暴力」が認定された日、何があったのか
報告書によると、中居さんと元社員の女性アナウンサーは番組などでの共演で面識があり、それまでも別の社員を交えた会合などで知人関係にあった。
2023年6月2日、中居さんはショートメールで「今晩、ご飯どうですか」と女性に連絡。中居さんは「メンバーの声かけてます」と別の男性社員らも誘っているように見せかけていたが、実際には誘っていなかった。
その後、中居さんは「メンバー見つからずです。2人だけじゃ気になるよね。せっかくだから飲みたいけど。」とメッセージを送り、実際には探していなかったが、店が見つからなかったとして「⚪︎⚪︎(地名)で飲みますか!この間の。」と、その2日前に女性も参加したバーベキューで使用された、自身が所有するマンションに誘っていた。
一方、女性は、マンションでの2人の食事は少し嫌な気がしたが、「今夜暇だとすでに言ってしまった」「別の社員らはいつも中居氏にペコペコしている姿を見ていたので逆らえないと思った」「ここで断ったら仕事に影響が出るのではないか」などの理由から、大丈夫である旨を返信していたという。
どのように「性暴力」認定
報告書には、「女性が中居さんのマンションに入ってから出るまで」と「示談の内容」は守秘義務の範疇で、中居さん側が守秘義務の解除に応じなかったため、部屋の中での状況について両者から聞き取りはできなかったとした。
一方で、女性が被害を受けた直後に、同社関係者に相談していた内容や、PTSDと診断されていること、ショートメールの内容などから、委員会は女性が中居さんに性暴力による被害を受けたと認定した。
また、2人の人間関係が業務上のものであり、タレントとの会合が会社経費として精算されていることなどから、「業務の延長線上として捉えることに不自然はない」とし、本事案は「業務の延長線上における性暴力であった」と認められることを指摘している。
フジの対応は
第三者委員会では被害時の状況だけでなく、フジ側のコンプライアンスに関しても調査している。
その内容によると、アナウンス室の上司らはトラブルを直後に把握。さらに港浩一社長(当時)らも事案を把握していたにもかかわらず、女性の「生命の安全とケアを最優先した」として、情報が漏洩することを恐れ、社内のコンプライアンス部門には情報を共有していなかった。一方で、週刊誌の報道が出るまで、中居さん側への調査も正式に行わず、レギュラー番組の放送も継続していた。
その一連の対応について、報告書では、「経営判断の体をなしていない」と厳しく批判。港元社長ら幹部については「性暴力への理解を欠き、被害者救済の視点が乏しかった」と指摘している。
第三者委員会は1月23日に設置され、調査を行なっていた。