
「ジブリ風AI画像」を作ってSNSにあげる動きがトレンドになる中、イスラエル軍が3月31日(日本時間)、「我々もジブリの流行に乗ってみることにしました」というコメントとともに、4枚のAI画像を投稿した。
画像には、イスラエルの国旗が掲げられた要塞で銃を構えて警備する歩兵や、対空砲を背に仲間と通信する水兵、戦闘機に乗るパイロットなどが描かれている。
OpenAI(オープンAI)が3月25日にChatGPTの画像生成機能を改良して、より詳細な指示のもとで画像を作れるようになった後、世界中の人がジブリ風AI画像を作ってソーシャルメディアに投稿している。
その一方で、ガザやヨルダン川西岸などへの攻撃を続け、民間人を含む多くのパレスチナ人を殺害しているイスラエル軍がジブリ風画像を投稿したことには、批判が起きている。
Xのユーザーのひとりは、1988年の作品『火垂るの墓』に触れて、「スタジオジブリは、帝国主義権力による戦争で子どもたちが飢え、命を落とさなければならなかったことを伝える映画をもう作っている。AIは必要ない」と述べている。
また、「宮崎駿さんは、2003年に『千と千尋の神隠し』がアカデミー賞を受賞した時にアメリカへ行かなかった。イラク戦争に反対していたからだ。そんな彼が、ジェノサイドに手を染めている占領軍がジブリのアートスタイルで自らを宣伝するのを見れば、激怒するだろう」という批判もある。
『千と千尋の神隠し』の原作、脚本、監督を務めた宮崎駿さんは、同作が第75回アカデミー賞で長編アニメ映画賞を受賞した際に、授賞式に行かなかった。その理由を「イラクを爆撃している国を訪れたくなかったからです」と2009年のロサンゼルスタイムズのインタビューで語っている。
他にも、「ファシストになるより豚のほうがマシさ」という『紅の豚』のポルコのセリフを引用した投稿もある。

多くの人がジブリ風AI画像を楽しんでいる一方で、アメリカのホワイトハウスがこのスタイルの画像で移民の強制送還を伝えるなど、政治家や権力者らが自らの力を誇示する目的などで使われているケースもある。
2023年10月7日にイスラエル軍と武装勢力ハマスの武力衝突が始まって以降、イスラエル軍の攻撃によるガザ地区の死者は5万人を超え、多くの子どもたちも犠牲になっている。