資産8億円!元消防士の投資家が教える「買ってはいけない」高配当株の見分け方。2025年の注目銘柄は?

元消防士で個人投資家のかんちさん。独自の投資手法で資産8億円、年2000万円を超える配当金を受け取っています。特に避けるべき高配当株の特徴、2025年の注目銘柄は?
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元消防士で個人投資家のかんちさん。公務員時代からコツコツとお金を投資に回し、独自の投資手法で資産8億円、配当金は年間2000万円を超えています。

その投資スタイルは「高配当株が中心」「一度買ったらほったらかし」と至ってシンプル。日中は忙しいビジネスパーソンや初心者でも実践しやすいのが特徴です。後編では、特に避けるべき「買ってはいけない」高配当株と、今年の注目銘柄を聞きました。

元消防士の個人投資家、かんちさん(イラスト:鈴木勇介)
元消防士の個人投資家、かんちさん(イラスト:鈴木勇介)
鈴木勇介

「買ってはいけない」高配当株の3つの見分け方

──かんちさんが避けている、いわゆる「買ってはいけない」高配当株とはどのような銘柄でしょうか。

「買ってはいけない」とされる高配当株には、いくつか共通する特徴があります。まず、業績が安定せず、過去に配当がゼロになったり、維持が困難になったりした企業。こうした企業は、業績悪化により利益が減少し、配当金の減額を余儀なくされるリスクがあります。

また、配当性向(企業が利益のうちどれだけを配当金として支払っているかを示す指標)が極端に高い銘柄は一見すると高い利益還元率で魅力的ですが、実際には増配の余地がほとんどありません。。例えば、株価が100円で配当金も100円という状態では、わずかな利益減少でも配当維持が困難になる恐れがあります。一般的に、配当性向が80%~100%の企業は、利益に対する配当負担が大きく、長期的な増配は期待しにくいでしょう。

さらに、業績が不安定な企業は株価の変動が激しく、最悪の場合、倒産の可能性もあります。また、将来の業績予測が困難で、投資判断が一層難しくなります。投資判断を行う際には、これらのリスク要因を十分に考慮しましょう。

──急伸ぶりが目立つ不動産株については、どのようにとらえていますか。

不動産株への投資を一概に避けるべき、とは言い切れませんが、注意すべき点があります。特に、財務基盤がもろく、急激に悪化しやすい不動産株は、配当維持が困難になり倒産リスクが高まるため、企業の財務状況を慎重に分析する必要があるでしょう。

また、マンションデベロッパーは金利上昇や過剰在庫、外国人投資家の影響などにより業績が不安定になりやすい傾向があります。

ただし、例外としてヒューリックなどの大手不動産会社は、保有不動産の含み益があるため、比較的安定している場合が多く、選別すれば投資対象となり得ます。つまり、不動産株に投資を検討するときは企業の財務状況や事業内容、市場環境などを総合的に分析し、慎重に判断してほしいです。

株価上昇、大化けが期待できる株は?

──ちなみに、大化けする可能性のある「新興株(新規上場銘柄)」についてはどのようにお考えですか。

魅力を感じる会社はありますが、値動きが激しいため、あまり買いません。ただ、その中でも、24時間フィットネスクラブを運営するフィットイージー(212A)は、今後の業績が期待できると見ています。

フィットイージーは、一般的なスポーツクラブとは異なる独自の運営方法を採用しており、他の施設とは一線を画す魅力があります。人気も高まっており、株価があまり安くない状況でも、今後は比較的伸びる可能性があるのではと思っています。

──株価上昇が期待できる優待株には、どのようなものがありますか。

具体的には、カラオケ「まねきねこ」を展開するコシダカ(2157)は、業績も堅調で割引券などの株主優待が魅力的です。

また、駐車場運営を基盤とする日本駐車場(2353)は、安定した業績から長期保有に向いています。駐車場運営に関する株主優待を提供しているので、車を持っている人にとってはより魅力的ではないでしょうか。

さらに、飲食店向け厨房機器販売のテンポス(2751)は、株主優待として割引券を提供しており、業績が右肩上がりであることから、株価上昇が期待できる銘柄です。

これらの銘柄に共通するのは、売上や利益が毎年着実に伸びている点です。また、インバウンド需要によって、共立メンテナンスのようなホテル関連や飲食関連も、今後の成長が期待される注目分野です。

7万部を突破した著書『ほったらかしで年間2000万円入ってくる 超★高配当株 投資入門』
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2025年は「銀行株」と「損保株」に注目

──2025年に期待する銘柄を教えてください。

特に注目しているのは銀行株と損保株です。銀行株では、みずほ、三菱UFJ、三井住友といった大手銀行が挙げられます。これらの銀行は、日銀が将来的に金利を2%程度まで引き上げる可能性があるとの展望の中で、金利上昇の恩恵を直接受けやすいのです。

現在の金利水準が0.5%程度から0.75%に上昇するだけでも、変動金利での貸し出し収益が自動的に増加し、それが次回決算での好成績、そして増配へとつながる流れが期待されます。特に、三菱UFJと三井住友は投資対象として有望です。損保セクターも同様に、金利上昇が収益にプラスの影響を与えるため、株価上昇が期待できます。

──投資初心者が注意しておくポイントを教えてください。

以下の点を重視して投資判断を行うことをおすすめします。

1つ目はリスク管理の徹底。業績の安定性や利益の推移に基づき、将来的な増配が期待できる企業を選び、リスクの高い銘柄は避けることが重要です。

2つ目はシンプルな判断基準。まずは基本的な指標から判断し、複雑なIR資料や決算書の詳細な分析は次のステップと考えましょう。

3つ目は確実性のある銘柄の選択。利益を上回る配当を出しているなど、持続性に疑問のある銘柄は避け、長期的に安定した配当が期待できる企業を選ぶことが大切です。

【PROFILE】かんちさん

1961年三重県生まれ。元消防士で、現在は資産約8億円・年間配当金2000万円超の専業投資家。49歳で資産2億円を築き早期退職し、以後は株の配当金と株主優待で生活。投資歴40年以上、約600銘柄を保有。明確な判断基準と再現性の高い手法が個人投資家に定評あり。資産が増え続ける中、65歳以降は年間生活費を2000万円に増額予定。

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