「土砂降りなので洗濯バサミロケットが、虹を出しておきます」という投稿がXで11万超の「いいね」を集め、話題となっています。
投稿したのは、洗濯バサミフォトグラファーとして活動している岡本なうさん(@okaphotoart)。これまで、洗濯バサミを使って、花や東京スカイツリーなど本物そっくりに再現するアートを生み出してきました。
そんな岡本さんが今回手がけたのが「洗濯バサミロケット」。動画には、ロケットに見立てた洗濯バサミが炎を出しながらノートの上を飛んでいるように見える様子が収められています。
この不思議な仕組みについて、岡本さんに聞きました。
「炎のように見えるものは、光の屈折・反射を利用して撮影した虹です。ひび割れたプラスチック水槽に水を入れ、太陽光を絶妙な角度で当て、水面の動きや光の屈折・反射を活用して虹を作り出しました。
その結果、水面が揺れることで、虹がロケットのジェット噴射のように見える面白い効果が生まれました。光を一点に集めて熱を発生させる集光実験とは異なりますが、安全に配慮しつつ撮影を行いました」
このアイデアを思いついたきっかけについては、こう話します。
「洗濯バサミが着水する様子をどうやって撮影しようか、いろんな容器に水を入れて試していた時のことです。一瞬、プラスチックの水槽から虹が出ていることに気づいたのが、このアイデアのきっかけですね。
思えば、子どもの頃、ノートやキャンバスに夢中になっている時って、空に虹を見つけるよりも、もっと自由に身近なところに虹を描いていたような気がします。そんな感覚を思い出しながら、洗濯バサミをロケットにするアイデアを考えました」
この投稿にXユーザーからは、「形もさることながら、噴射炎の根元が青く、外側に行くほどオレンジや赤になってるのもリアリティあって完璧ですね」「これはもっと評価されるべき 美しい」など称賛の声が相次ぎました。
こうした反響について、岡本さんは次のようにコメントしています。
「今回、本当に多くの方にご覧いただき、反応していただき、嬉しかったです。実はこの投稿は、同日、XだけでなくThreadsでも大変大きな反響をいただきました。お一人お一人に感謝の気持ちでいっぱいです。
そんななかでも、とくに『今、疲弊していて何もかもを投げ出したい気持ちだったけど、投稿を見て少し元気が出た』というコメントを見た時には、涙が出ました。
この投稿をあげようと思った背景には、その日の天気がありました。朝から雪が降ったり、土砂降りだったり、雷が鳴ったりするなど、春の不安定な日でした。そこで、『雨上がりに見上げる空に虹を見つけられない日でも、雨に濡れてうつむき歩く人間にしか見つけられない虹がある』ということに、ふと気づき投稿しました。
そして、このコメントを見た時、その思いが通じた気がしました」