「ノー・アザー・ランド」パレスチナ人監督、イスラエル人入植者に襲撃される。軍に拘束され消息不明に

拘束されたハムダーン・バラールさんらの映画「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」は、米アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞している。
第97回アカデミー賞の授賞式に出席した(左から)ハムダーン・バラールさん、ラヘル・ショールさん、バーセル・アドラーさん、ユヴァル・アブラハームさん(2025年3月2日、カリフォルニア州)
第97回アカデミー賞の授賞式に出席した(左から)ハムダーン・バラールさん、ラヘル・ショールさん、バーセル・アドラーさん、ユヴァル・アブラハームさん(2025年3月2日、カリフォルニア州)
Handout via Getty Images

米アカデミー賞受賞映画「ノー・アザー・ランド」のパレスチナ人共同監督ハムダーン・バラールさんが、ヨルダン川西岸でイスラエル人入植者から暴行を受け、イスラエル軍に拘束された。複数の海外メディアが報じている。

CNNなどによると、共同監督であるパレスチナ人のバーセル・アドラーさんは、バラールさんから電話を受けた後、3月24日にヨルダン川西岸にあるバラールさんの自宅を訪れた。到着したとき、バラールさんと他に少なくとも1人が連行されるところだった。バラールさんは、手錠と目隠しをされていたという。

バラールさんの家の外にはイスラエル人入植者の集団がおり、イスラエル兵は近づこうとする者に発砲していたとアドラーさんは語った

また、アドラーさんは「オスカーから帰って以降、私たちは日々攻撃を受けています。これは私たちが映画を作ったことに対する復讐なのかもしれません。まるで罰のようです」とも述べている

イスラエル軍は、軍に向かって石を投げた疑いのあるパレスチナ人3人と、イスラエル人とパレスチナ人の間の「暴力的な衝突」に関与したイスラエル人1人を拘束したと主張している。一方、AP通信は、目撃者がこの主張に異議を唱えていると報じている。


アドラーさんは25日早朝のXの投稿で、「私はハムダーンの7歳の息子カラムと一緒に、入植者たちが集団暴行したハムダーンの家で、彼の血のそばに立っています。私たちの映画『ノー・アザー・ランド』の共同監督であるハムダーンは、負傷し血を流した状態でイスラエル兵たちに連れ去られ、いまなお行方不明です。こうして彼らは(パレスチナ人たちが住む)マサーフェル・ヤッタを消し去ろうとしているのです」と訴えた。

【画像】「彼の血のそばに立っている」。アドラーさんがハムダーンさんの自宅前で撮影した写真

「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」は、イスラエル軍による村の破壊を阻止しようとしたマサーフェル・ヤッタ地域の住民たちの闘いを記録した映画。第97回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞を受賞し、バラールさんらは3月2日の授賞式に出席していた。

注目記事